2022 Fiscal Year Research-status Report
Pathophysiology of psychiatric disorders revealed by neural oscillations- a multicenter study using clinical electroencephalography
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22K07617
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鬼塚 俊明 九州大学, 医学研究院, 教授 (00398059)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 臨床神経生理 / 統合失調症 / うつ病 / 双極性障害 / 聴覚定常状態反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
聴覚定常状態反応(auditory steady-state response: ASSR)はクリック音を一定の刺激頻度で提示した際に、その刺激頻度に同期した神経活動を示すもので、ガンマ帯域(特に40Hz前後)で最大のパワーピークを形成することが知られている。また, 刺激呈示開始直後にASSRと同時に生じる神経同期活動は, auditory transient response(ATR)と呼ばれ, ASSRとは異なる神経基盤を持つ神経生理学的指標と考えられており、AMPA受容体機能と関連すると言われている。 令和4年度までに九州大学病院において、統合失調症50名、双極性障害20名、健常対照者50名の聴覚定常状態反応を臨床脳波計で記録した。ASSR、ATRが記録されていることを確認し、それぞれが算出可能な状況である。 各精神疾患群及び健常対照者群についてASSR、ATRのパワー値及び位相同期性、ベースラインガンマ活動などを包括的に評価し、2)ガンマ帯域同期活動について、各精神疾患群での特徴を明らかにする。ASSR、ATRについて、多施設による大規模データでの検討を疾患横断的に行い、主要な精神疾患において、興奮系/抑制系バランス異常からみた病態を明らかにする。将来的にはバランス異常から、神経同期活動病として、精神疾患の再分類を試みる。また精神疾患の診断の補助マーカーとなりうるかも検討する。なお、evoked ASSRは、健常者=うつ病>双極性障害というパターンになると予想されるが、ATRやinduced ASSRについては、現時点では、世界で疾患横断的な報告はない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りの、被験者のリクルートができており、解析可能な状況である。 また、現在、サンプルの一部を解析して、論文準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
被験者数を、各施設で増やしていくとともに、脳波データは、ウェーブレット変換を用いて周波数毎の成分に分解し、ASSR及びATRのガンマ帯域パワー値および試行間同期性を求める。 令和5年度は全施設合計で統合失調症100例、健常対照者50例、その他の疾患30例を目標とし、令和6年前半の解析開始までに統合失調症200例、健常対照者100例、その他の疾患80例の目標症例数を集める。 解析では、ガンマ帯域神経活動の位相同期性及びパワー値を指標として、各疾患群及び健常者間での評価を行う。さらに、疾患内での変化(初発の統合失調症での経時的変化など)にも注目することで、包括的に各精神疾患でのガンマ帯域活動の変化とその背景にある興奮系/抑制系バランスの異常について疾患特異性・共通性を検討する。診断についての感度・特異度を算出し、診断の補助マーカーとなりうるかも検討する。
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Causes of Carryover |
解析用PCは、他の研究費から費用を支出できたため、その費用が少なかった。 また、コロナのため現地での学会参加が予想より少なかった。 次年度に、新施設において、PC設置が必要であり、新規に次年度に500000円のPC購入する予定である。
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Research Products
(7 results)