2022 Fiscal Year Research-status Report
ヒト病理検体と疾患モデル細胞およびマウスを用いたNBAS遺伝子異常症の病態解明
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22K07861
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
鈴木 滋 旭川医科大学, 医学部, 講師 (80516394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 祐司 旭川医科大学, その他, 学長 (90208166)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | NBAS遺伝子異常症 |
Outline of Annual Research Achievements |
NBAS遺伝子異常症による低身長の病態解明として、ヒト骨病変の病理学的解析および培養細胞株(軟骨細胞株[ATDC5細胞]および骨芽細胞株〔MC3T3-E1細胞〕)を用いた遺伝子ノックダウン実験を行った。 患者骨髄の病理組織像においてはNBAS発現低下が明らかではなかった。 患者皮膚線維芽細胞およびATDC5細胞、MC3T3-E1細胞間においてはNBAS遺伝子発現低下による遺伝子変化の比較をトランスクリプトーム解析にて行ったが、共通した遺伝子発現変化は認められなかった。2倍以上の発現変化が認められた遺伝子数は皮ATDC5では798(増加392,低下406)、MC3T3-E1では831(増加350、低下481)であった。Gene ontology(GO)解析では、ATDC5細胞では、Biological processでは刺激に対するもの、Cell componentでは細胞膜に関連するものが抽出され、MC3T3-E1細胞では、Molecular functionでは輸送に関連するものBiological processでは輸送に関連するものおよび刺激に対するもの、Cell componentでは細胞膜に関連するものが抽出された。 ATDC5細胞において、Nbasノックダウンは軟骨分化誘導に影響を与えなかった一方、MC3T3-E1細胞におけるNbasノックダウンは骨分化誘導においてALP活性が抑制され、石灰化も抑制された。以上より、共通のmRNA発現変化は認められなかったものの、GO解析においては、環境刺激に対する反応性に関する生物学的プロセスの変化は共通しており、それぞれの臓器が受容する刺激が病態のトリガーとなる可能性も示唆された。また、NBAS異常症の低身長の病態については、骨形成不全が主たる病態であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
NBAS遺伝子ノックアウトマウスの作成が進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
骨形成不全を引き起こすメカニズムについて、骨誘導における分子メカニズムの解明を細胞実験およびノックアウトマウスを用いた実験で明らかとしたい。また、糖代謝の異常についてもノックアウトマウスの表現型解析および膵島免疫組織化学的評価、あるいは糖代謝関連遺伝子発現解析を進める。
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Causes of Carryover |
患者線維芽細胞および培養細胞株を用いたノックダウン実験における機能解析の遂行中、ノックアウトマウスの作成が完了していないため。これらの実験を進めていく。
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