2022 Fiscal Year Research-status Report
非乳頭部十二指腸腺癌の2つの発癌経路の検証と分子機構の解明
Project/Area Number |
22K08014
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
澤田 武 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (60345626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠島 里美 金沢大学, 保健学系, 教授 (20444200)
久保田 英嗣 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (30405188)
中村 慶史 金沢大学, 附属病院, 講師 (30608691)
佐々木 泰史 札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (70322328)
八尾 隆史 順天堂大学, 医学部, 教授 (20243933)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 十二指腸腫瘍 / 十二指腸腺腫 / 十二指腸腺癌 / 遺伝子変異 / DNAミスマッチ修復遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、非乳頭部十二指腸腺腫・粘膜内癌・進行癌における分子病理学的異常を同定し、形質発現による分類と比較することにより、2つの発癌経路を検証することである。胃型・小腸型のそれぞれの腫瘍において遺伝子異常の有無やその頻度を比較することにより、2つの経路における発癌の詳細な分子機構を明らかにする。 具体的には、非乳頭部十二指腸腫瘍 53病変を対象とし、病理診断と粘液形質の免疫組織化学(MUC5AC, MUC6, CD10, MUC2, PG-I)による胃型と小腸型への分類を行う。各病変からDNA抽出を行い、75の癌関連遺伝子を探索するカスタムパネルを用いて、次世代シーケンスで変異・コピー数異常の解析を行う。胃型・小腸型のそれぞれの病変について遺伝子異常を確認し、その異同により2つの分子病理学的発癌経路の存在を確認する。また、胃型・小腸型それぞれの腺腫・粘膜内癌における遺伝子異常の頻度を比較することにより、多段階発癌の関与を検証する。合わせて、免疫組織化学でDNAミスマッチ修復蛋白(MLH1, MSH2, MSH6, PMS2)の評価を行う。得られたゲノム情報、病理組織学的所見、内視鏡所見をそれぞれ比較し、胃型・小腸型腫瘍それぞれについて、発癌可能性が高く、優先して治療すべき早期病変を予測する内視鏡診断体系を確立する。 当該年度に病理診断と粘液形質の免疫組織化学による胃型・小腸型への分類は終了しており、53病変は小腸型腺腫 26病変、胃型腺腫 4病変、鋸歯状腺腫1病変、小腸型粘膜内癌 8病変、胃型粘膜内癌 1 病変、進行癌 13病変に分類された。また、DNAミスマッチ修復蛋白の免疫組織化学も終了した。さらにDNA抽出の後、遺伝子変異・コピー数異常の解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究機関との連携も良好であり、症例の集積、免疫組織化学と病理診断、DNA抽出、シーケンス解析に関して、問題なく行うことが可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、胃型・小腸型のそれぞれの病変について、遺伝子変異・コピー数異常について詳細な解析を行い、その異同により2つの分子学的発癌経路の存在を確認する。また、胃型・小腸型のそれぞれの腺腫・粘膜内癌における遺伝子異常の頻度を比較することにより、多段階発癌の関与を検証する。さらに、得られた分子学的データと、病理組織学的所見、内視鏡所見との関連を探索することにより、胃型・小腸型腫瘍それぞれについて、発癌可能性が高く、優先して治療すべき早期病変を予測する内視鏡診断体系を確立する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、旅費の出費がなかったため。 次年度以降の学会参加費、論文投稿費用に用いることとする。
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