2022 Fiscal Year Research-status Report
ヒト胃オルガノイド培養に基づく幹細胞老化に伴う発癌ポテンシャル獲得機序の解明
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22K08025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今谷 晃 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30333876)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒト胃オルガノド / 胃発がん / 加齢 / Wnt/beta-cateninシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢は発がん要因の1つである。老化が関わるヒト分化型粘膜内胃癌における発がん機序を、ヒト胃オルガノドを用いて明らかにすることを目的として研究を開始した。粘膜内癌に対して内視鏡治療を受ける患者より同意(倫理委員会承認済)を得た後、癌部および非癌部より生検組織を採取し胃オルガノド樹立を試みた。14症例から確実に胃癌および非癌部より対で樹立できたのは6例であった。まず6例中1例を用いて遺伝子発現プロファイルを明らかにするために、Human Clariom S Microarray Assayを行い、さらにGene Set Enrichment Analysis(GSEA)をした。その結果、Wnt/beta-catenin 細胞内シグナルが活性化し、細胞増殖能は亢進、細胞老化は抑制されていた。次に96 well TaqMan Gene Expression Arrayを用いて対で樹立できたオルガノドを対象に遺伝子発現プロファイルを行った。その結果、全例で発現パターンが同一のWnt/beta-catenin 細胞内シグナル活性化を裏付ける遺伝子を5個同定できた。さらに胃癌オルガノドでは、MTS法で細胞増殖能が亢進し、p16低下あるいはpRB脱リン酸化抑制を認め、SA-beta-gal法で老化細胞数が低下していることが確認できた。このため、先行研究で得た、加齢マウス(野生型)由来胃オルガノドの遺伝子発現プロファイルと、本研究がある面において類似していることも明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度内にヒト胃癌オルガノドにおいて、加齢が要因となる発がん因子として、GSEAとin vitroでの解析によりWnt/beta-cateninシグナルの亢進し、細胞老化が抑制されていることを明らかにでき、さらに候補遺伝子をまず5個同定できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究成果で得られたWnt/beta-catenin 細胞内シグナル活性化を裏付ける遺伝子5個を含め、ヒト胃癌オルガノイドと加齢マウス由来オルガノドの遺伝子ファイルを照合し、加齢に伴う発がんに関与する遺伝子を絞り込む。そして、候補遺伝子をヒト胃正常オルガノドにおいてLentivirusあるいはPiggyBacシステム等を用いて強制発現、CRISPAR/Cas9システムを用いてゲノム編集することによって機能解析を行い、発がんや分化制御との関連性を進める。ニッチ因子であれば、リコンビナントタンパクを購入し解析を行う。一般的に加齢と関連性のあるDNAメチル化についても異常がないか解析を進める。
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Causes of Carryover |
令和4年度はほぼ予定どおり研究が進捗しているが、ニッチ因子解析のリコンビナントタンパクの購入が若干遅れており、このため令和5年度も引き続きこの試薬購入が必要なため
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