2023 Fiscal Year Research-status Report
ヒト胃オルガノイド培養に基づく幹細胞老化に伴う発癌ポテンシャル獲得機序の解明
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22K08025
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今谷 晃 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30333876)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヒト胃オルガノイド / 胃発がん / 加齢 / Wnt/beta-cateninシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢による胃発がん機序を解明するために、ヒト粘膜内分化型胃癌14例の癌部および非癌部生検下組織よりヒト胃オルガノイドを樹立し、形態学的に癌由来と確認できた6例のオルガノイドを用いて研究を進めている。Microarray解析とGSEAの結果からヒト胃癌由来オルガノイドでは、Wnt/beta-catenin細胞内シグナルの亢進と細胞老化の低下の結果を得ている。網羅的解析を進め、6例の癌由来オルガノイド全てにおいて共通して発現変動のある、Wnt/beta-catenin細胞内シグナルの経路因子あるいは標的因子であるTCF7、LEF1、TBX3、WNT2B、DKK3を抽出した。この中で、本グループが独自に確立した、加齢マウス(野生型)由来で発癌ポテンシャルを獲得したマウス胃オルガノドの遺伝子発現プロファイルと比較検討したところ、TBX3とDKK3の発現パターンが共通していることを見出した。そしてヒト胃癌由来オルガノイドに対する免疫蛍光染色ではTBX3の発現亢進が検証できた。また、ヒト胃癌由来オルガノイドの細胞増殖は、Wnt/beta-catenin細胞シグナルに関わるWnt3aとR-Spondin1のニッチ因子を除去すると有意に低下することから、粘膜内分化型胃癌の細胞増殖能は依然可逆的な変化であることが示唆された。以上のヒト胃癌由来オルガノイドと加齢マウス(野生型)由来オルガノイドの遺伝子発現プロファイルとの比較から、TBX3等の遺伝子群が加齢に伴う発癌初期に関与している可能性を見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、ヒト胃癌由来オルガノイドと加齢マウス(野生型)由来オルガノイドの網羅的遺伝子発現プロファイル比較から、加齢に伴うヒト胃発癌に関わる遺伝子TBX3を抽出でき、さらに胃オルガノドを用いて機能解析まで進めることができため。
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Strategy for Future Research Activity |
加齢に伴う胃発がん機序の解明のために、何故Wnt/beta-catenin細胞シグナルが活性化しTBX3の発現が亢進しているか、TBX3がどのような遺伝子を制御しているか、また。同シグナルのニッチ因子、WntあるいはDKK ファミリーとの関連性の解析を進める。加齢で変化するエピジェネックス変化であるDNAメチル化について検証すると同時に、実際のヒト胃粘膜組織で、胃オルガノイドで得られた現象がおこっているか免疫組織化学を行い検証する。
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Causes of Carryover |
ヒト胃粘膜組織における病態を検証ために免疫組織化学を行うが、その適切な抗体を選択するのに時間を要しているため
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[Presentation] Evasion of cellular senescence mediated by aberrant TBX3 induction may contribute to aging-related carcinogenesis in human gastric cancers2023
Author(s)
Masashi Saito, Naoki Asano, Akira Imatani, Akio Takeuchi, Xiaoyi Jin, Masahiro Saito, Takeshi Kanno, Waku Hatta, Kaname Uno, Tomoyuki Koike, and Atsushi Masamune
Organizer
DDW2023
Int'l Joint Research
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