2023 Fiscal Year Research-status Report
感染後過敏性腸症候群におけるToll様受容体9-ブラジキニン経路の解明と治療応用
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22K08076
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
古谷 聡史 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (60839067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 義之 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (30397864)
岡 明彦 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (80600600)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 感染後過敏性腸症候群 / Citrobacter rodentium / Toll-like receptor 9 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究により、Toll-like receptor(TLR) 9 KOマウスに対してCitrobacter rodentiumを投与し、感染性腸炎を発症させると、腸炎回復後にPost-infectious IBSを発症させ、WTマウスやTLR2,4KOマウスと比較して、顕著な腸管知覚過敏を生じることが判明した。PI-IBSを発症したTLR9KOマウスの腸管を採取し、WTマウスの腸管とともにMicroarray解析を行ったところ、TLR9KOマウスにおいて、強い疼痛を誘導するブラジキニンB2受容体(BDKRB2)の発現が有意に亢進していることが判明した。 そこでBDKRB2の選択的拮抗薬であるイカチバント(遺伝性血管性浮腫の急性発作に対する治療薬)を用いて、PI-IBSによる腸管知覚過敏を改善させることが可能か検証した。その結果、BDKRB2投与群において、腸管知覚過敏は顕著に抑制されており、PI-IBSの治療薬となり得ると考えられた。 以上の実験結果を論文作成し提出したところ、査読者よりいくつかの追加実験を指示された。 TLR9シグナル欠損状態にC.rodentium感染が加わることにより、どのようなメカニズムでBDKRB2の発現が亢進するのかという点に重点を置き、腸内細菌叢の解析や免疫染色、そのほか分子生物学的手法により検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験で使用するマウスの繁殖が想定より悪く、他大学への精巣上体尾部の輸送や繁殖の依頼を行っている段階であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、これまでの実験系でTLR9シグナル欠損状態に感染性腸炎を生じることで、BDKRB2の発現が増加することが腸管知覚過敏に関与していることが示唆されたものの、その機序については現時点では不明である。 これまでの結果を論文作成し投稿したところ、査読者から可能な限りこのメカニズムについて検討するよう指示があった。そのため現在計画および実施している実験として、 腸管組織の炎症性・抑制性サイトカイン遺伝子発現の多寡の評価、免疫染色を用いたBDKRB2の発現の局在の評価、腸内細菌叢の解析などが挙げられる。 このメカニズムが判明すれば、BDKRB2拮抗薬のPI-IBSに対する治療効果について臨床応用を検討していく。
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Causes of Carryover |
2023年度も継続してマウスを用いた実験や、分子生物学的手法による実験を進めているが、一部の試薬は他の実験者と共有できたため。次年度も同様の実験を進めていくため、残予算は引き続き実験動物や試薬の購入に充てる予定としている。
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Research Products
(1 results)