2022 Fiscal Year Research-status Report
出血刺激に対するマクロファージの炎症反応応答と冠動脈プラーク進行の病態解明
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22K08122
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
坂本 篤志 浜松医科大学, 医学部, 特任助教 (80940436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成味 太郎 浜松医科大学, 医学部附属病院, 診療助教 (00755142)
鈴木 佑一 浜松医科大学, 医学部附属病院, 医員 (10939888)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 急性冠症候群 / 末梢血単核球 / 動脈硬化 |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈硬化症は、先進国、発展途上国を問わず世界中で増加を続け、依然として死因の第一位である。近年のスタチンによる脂質低下療法は動脈硬化症の予後を改善してきたが、スタチンを用いた大規模臨床研究が示してきた心血管事故回避率は3割程度であり、心血管事故は7割も存在し続けることが知られている(スタチンの残余リスク)。よって、動脈硬化症においてLDLコレステロール以外の新たな治療標的の同定が急務である。 心臓突然死の原因となる急性冠症候群のうち、冠動脈硬化巣における粥腫破裂はその原因の7割程度を占めるとされるが、粥腫における線維性被膜の菲薄化および最終的な破綻に至るメカニズムは未だ十分に解明されていない。研究代表者らは、これまでに行なってきた基礎病理研究の結果より、粥腫内出血部位において、ヘモグロビン刺激に対するマクロファージの炎症応答が、線維性被膜内のアポトーシスを惹起することで急性冠症候群の発症に寄与している可能性を見出した。被膜破綻の過程でこのメカニズムが存在するとすれば、実臨床において、急性冠症候群をきたす患者と安定冠動脈疾患患者の間には、マクロファージのヘモグロビン刺激に対する炎症反応に違いが認められることが予想される。本研究の目的は、この仮説を臨床研究の側面から証明することである。 2022年度においては、虚血性心疾患の検査・治療を目的として浜松医科大学附属病院循環器内科に入院された患者様から末梢血単核球(PBMC)を採取することに主眼を置き、計画を進めた。結果、目標とする患者数80名のうち、60名(目標の75%)からのPBMC採取がすでに終了している。目標のサンプル80名分が揃い次第、採取したPBMCを用いた基礎実験行程を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究において、目標とする患者数は急性冠症候群30名、安定狭心症30名、冠疾患の有さない健常対象群20名の計80名である。2022年度終了の時点ですでに60名(目標の75%)からのPBMC採取及び臨床情報の取得は終了している。翌2023年度中には目標患者数の達成及び、その後のPBMCを用いた実験計画は完遂できるものと予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度中に計80名からのPBMC採取は終了できる予定である。その後のPBMCを用いた基礎実験も、2023年度中には終了できる。実験データが出揃い次第、臨床情報とのすり合わせ、解析を行なっていく。
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Causes of Carryover |
本研究に参加する患者さんのリクルートの状況により、PBMCの抽出にかかる費用のうち382514円を次年度に繰り越すこととなった。
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