2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism by which atrial fibrillation causes systemic complications through extracellular vesicles
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22K08152
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
笹野 哲郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (00466898)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 心房細動 / 細胞外小胞 / 期外収縮 / cell-free DNA / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
心房細動では血中の血中CRPの上昇などの炎症反応が生じる。一方、心房炎症は心房細動の発症・進展に関連する因子でもあり、心房細動と全身および局所の炎症は互いに増悪因子としてvicious cycleを形成するものと考えられる。心房炎症が心房細動を進展させる機構は広く研究されているのに対し、心房細動が炎症を惹起するメカニズムは未解明の部分が多かった。我々は、心房筋細胞から放出される液性因子が全身にあたえる影響について検討を行った。 心房細動時には、高頻度興奮によってダメージを受けたミトコンドリアがexhophoreとして細胞外に放出され、その中のミトコンドリア由来DNAがセルフリーDNAとして放出される。我々は、心房細動患者300名、心房細動を持たない対照群300例を対象とした多施設研究を行い、末梢血中のセルフリーDNA濃度を評価したところ、心房細動群ではセルフリーDNA濃度が有意に高値であることを明らかにした。心房細動のバイオマーカーとして以前報告されたマイクロRNAについては、多施設研究では有意差がみられなかった。さらに、脳梗塞既往の有無で比較すると、脳梗塞既往群では血中セルフリーDNAが有意に高値であり、セルフリーDNAは心房細動有病リスクのバイオマーカーであると同時に、脳梗塞合併のリスク評価にも活用できると思われた。 さらに、心房細動時に血中に放出される液性因子として細胞外小胞の定量を行うと、細胞外小胞が有意に上昇していた。さらに、心房細動で放出される細胞外小胞中のsmall RNA seqによりも網羅的解析を行い、心房細動で放出される細胞外小胞のプロファイルは健常者と異なっていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年度は、心筋細胞から放出された細胞外核酸・細胞外小胞が心房細動に関連するバイオマーカーとして利用可能か、多施設研究により評価を行った。心房細動患者300名、心房細動を持たない対照群300例を対象とした多施設研究を行い、末梢血中のセルフリーDNA濃度を評価したところ、心房細動群ではセルフリーDNA濃度が有意に高値であることを明らかにした。心房細動のバイオマーカーとして以前報告されたマイクロRNAについては、多施設研究では有意差がみられなかった。この理由を明らかにするため、食事前後を含めてセルフリーDNAとマイクロRNAを定量して日内変動を評価したところ、セルフリーDNAに比してマイクロRNAは日内変動が大きく、食事による有意な変化が見られた。多施設研究においては採血タイミングは固定しておらず、このことがマイクロRNAがバイオマーカーとして有用性を示さなかった理由と考えられた。 また、脳梗塞既往の有無で比較すると、脳梗塞既往群では血中セルフリーDNAが有意に高値であった。本検討は、あくまでも脳梗塞の既往であり、脳梗塞発症予測として本研究を外挿できるわけではないが、セルフリーDNAは心房細動有病リスクのバイオマーカーであるのに加えて、脳梗塞合併のリスク評価にも活用できると思われた。 一方、心房細動において放出された病態特異的細胞外小胞に関するプロファイル分析を継続した。心房筋細胞に高頻度電気刺激を加えた際に放出された細胞外小胞を回収し、その機能解析を行った結果、心房細動で放出された細胞外小胞は脂肪細胞の炎症反応を促進することが明らかとなり、細胞外ATPによるマクロファージ遊走促進と相乗的に、脂肪組織を含む周辺組織の炎症を惹起することが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 心房細動における病態特異的細胞外小胞が周囲の心筋細胞および線維芽細胞に与える影響の評価:心房筋細胞を高頻度電気刺激し、放出されたの細胞外小胞を回収・抽出して、心筋細胞および線維芽細胞に転嫁する。心筋細胞においては、パッチクランプ法により活動電位およびイオン電流の評価を行い、細胞外小胞の添加による細胞電気生理学的変化を評価すると同時に、Caインジケーターを用いた光学的評価によってCa transientの変化を検討する。線維芽細胞に関しては、細胞外小胞の添加後に炎症性サイトカインの発現変化および筋線維芽細胞への形質転換の評価を行う。これにより、心房細動の際に心房内で心房リモデリングが徐々に進展していくことのメカニズム解明を行う。 2) 疾患特異的細胞外小胞のバイオマーカーとしての有用性の検討:心房細動症例では細胞外小胞の濃度が上昇しており、細胞外小胞中のマイクロRNAの含有が異なっていることが明らかとなった。この疾患特異的細胞外小胞の同定のため、フローサイトメトリーによる細胞外小胞の評価系を確立し、表面マーカーのプロファイルの違いから、疾患特異的な細胞外小胞の評価を行う。
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Causes of Carryover |
細胞外核酸の評価研究においては、他の助成金を利用したことで予算を温存することが可能であった。一方、細胞外小胞については、次年度にさらなる網羅的解析を予定しており、予算を繰り越して次年度使用を計画している。
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[Journal Article] Incidence of phrenic nerve injury during pulmonary vein isolation using different cryoballoons: data from a large prospective ablation registry2024
Author(s)
Tachibana, S. Miyazaki, S. Nitta, J. Shirai, Y. Nagata, Y. Sagawa, Y. Sekiguchi, Y. Inamura, Y. Sasaki, T. Yamauchi, Y. Inaba, O. Ono, Y. Suzuki, M. Suzuki, A. Iwai, S. Okada, H. Mizukami, A. Azegami, K. Hachiya, H. Handa, K. Goto, K. Nishimura, T. Hirao, K. Takahashi, A. Sasano, T.
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Journal Title
Europace
Volume: 26
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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