2022 Fiscal Year Research-status Report
Construction of genomic medical infrastructure and development of specific treatments for pediatric polycystic kidney disease
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22K08351
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森貞 直哉 神戸大学, 医学研究科, 客員准教授 (00389446)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 嚢胞性腎疾患 / 遺伝性腎疾患 / ネフロン癆 / 遺伝カウンセリング |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は92家系の腎疾患症例について遺伝子解析を施行した。そのうち35家系(41.4%)で原因遺伝子が特定できた。内訳は多発性嚢胞腎9例(PKD1, PKD2, PKHD1)、ネフロン癆7例(PHP1, BBIP1, INVS, WDR19, EVC2)、常染色体顕性尿細管間質性腎疾患(ADTKD)5例(UMOD、MUC1)、先天性腎尿路異常(CAKUT)9例(HNF1B, PAX2, GATA3, SALL1、GREB1L)、Dent病2例(CLCN5, OCRL)、renal tubular dysgenesis(RTD)1例(ACE)、尿細管性アシドーシス1例(SLC4A1)、Lesch-Nyhan症候群1例(HPRT1)であった。これらはほとんどが次世代シークエンサーによるパネル解析で同定され、一部は臨床診断から特異的疾患遺伝子解析を施行した。ほとんどが解析結果は6ヵ月以内に返却できた。一部は成人例が含まれるが発症は多くは小児期であった。ADTKDはいずれも成人期に診断されたが、小児期から徐々に変化があり、成人例も診断することで小児遺伝性嚢胞性腎疾患の理解につながると考えられる。ADTKD-MUC1はロングリード(LR)シークエンサーによる診断事例で、遺伝性嚢胞性腎疾患の解析にはやはりLRシークエンサーの併用が不可欠である。ただしコスト面からLRをすぐに臨床応用することは難しいため、代替法の開発を検討している。ネフロン癆症例の内、BBIP1症例は海外事例でこれまでに報告が1例しかなく、国際共同研究で同定できた。RTDは常染色体潜性遺伝疾患で25%の確率で次子再発が予想されるため、遺伝子解析と併せて遺伝カウンセリング体制を構築することが重要であると考えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全国の医療機関から年間100家系程度の検体集積が行なえ、それに対して40%程度で診断得ることができている。解析が難しいADTKD-MUC1症例の診断にも複数例成功しており、概ね順調に経過している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き全国の医療機関から検体を提供いただき、解析を継続する。診断例、未診断例ともに臨床像を詳細に検討してその要因を明らかにする。ADTKD-MUC1はコスト面で持続可能な早期発見法の確立と治療法の開発をさぐる。あわせて遺伝カウンセリング体制の構築にも寄与する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大により学会への現地参加が減少したため余剰金が生じた。余剰金はさらに多くの症例の遺伝子解析と次年度の成果発表のために使用する予定である。
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