2023 Fiscal Year Research-status Report
肥満症の治療と健康寿命の延伸を目指した褐色脂肪細胞機能活性化の試み
Project/Area Number |
22K08676
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
石垣 泰 岩手医科大学, 医学部, 教授 (50375002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那谷 耕司 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (90202233)
長谷川 豊 岩手医科大学, 医学部, 特任准教授 (90451559)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 肥満 / 褐色脂肪細胞 / 熱産生 / Ucp1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,肥満症治療につなげる目的で,脱共役タンパク質1 (Uncoupling protein 1:UCP1)遺伝子の発現を上昇させ,褐色脂肪細胞における熱産生を活性化させる薬剤(肥満抑制効果が期待される薬剤)を同定することを目指す. 化合物ライブラリーからUcp1遺伝子の発現を上昇させる低分子化合物を選択し,培養脂肪細胞を用いて遺伝子・蛋白発現解析,細胞毒性試験,UCP1免疫染色,酸素消費量計測を行った.その結果,同化合物はUcp1遺伝子の他,熱産生に関与する遺伝子の発現を上昇させることを確認できた.また,脂肪細胞での酸素消費量を増加させ,ミトコンドリア機能を亢進させることを示唆する結果が得られた. また,高脂肪食で飼育したマウスに16週齢から化合物の経口投与を開始した(コントロール群,化合物投与群).投与期間中に体重変化や摂餌量,血液検体の採取,糖負荷試験,インスリン負荷試験,マイクロCTの撮影,寒冷刺激試験,代謝計測を行い,25週齢にて褐色脂肪組織,白色脂肪組織,肝組織を採取した.その結果,化合物投与群では投与後,コントロール群と比較し有意に体重が減少した.また,化合物投与群では耐糖能が改善し脂肪肝の増悪が抑制できた.褐色脂肪組織におけるUCP1蛋白の発現が上昇し,エネルギー消費が亢進していた. これらの新規化合物の熱産生亢進,抗肥満,抗糖尿病効果について学会発表と論文発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度までに同定した化合物を用いてマウス投与実験を行い,体重増加抑制と血糖上昇抑制効果を確認できた.本化合物が肥満症に対する治療薬として有望であることを示す成果であると考えている.この成果を英文誌に発表できたことは,当初の計画以上の進展といえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本化合物の脂肪細胞における作用機序について詳細な解析を行っていきたい.これまで脂肪組織の遺伝子発現,蛋白発現を行いPKAの活性化が関与している可能性を見出したが,今後RNAシークエンスなどの手法を用いることでPKAにつらなるシグナル経路を解析していきたい.さらに,本化合物の受容体などの作用経路に関して,G蛋白共役受容体を標的に明らかにしていきたい.
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Causes of Carryover |
試薬等の実際の購入価格が公示価格より低かったため.
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[Journal Article] A newly identified compound activating UCP1 inhibits obesity and its related metabolic disorders.2024
Author(s)
Onodera K, Hasegawa Y, Yokota N, Tamura S, Kinno H, Takahashi I, Chiba H, Kojima H, Katagiri H, Nata K, Ishigaki Y.
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Journal Title
Obesity
Volume: 32
Pages: 324-338
DOI
Peer Reviewed
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