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2023 Fiscal Year Research-status Report

トリプルネガティブ乳癌・転写調節領域解析に基づく抗癌剤耐性機構の解明

Research Project

Project/Area Number 22K08705
Research InstitutionKagoshima University

Principal Investigator

戸田 洋子  鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (90814301)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 新田 吉陽  鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 助教 (20725733)
関 直彦  千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (50345013)
喜島 祐子  藤田医科大学, 医学部, 教授 (60381175)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywordsトリプルネガティブ乳癌 / 抗癌剤耐性 / ATAC sequence / マイクロRNA
Outline of Annual Research Achievements

乳癌全体の約15%を占めるトリプルネガティブ乳癌(TNBC)は、乳癌のサブタイプの1つであり、悪性度が高い。TNBCは、明確な治療標的が見つかっていないため、現在でも、化学療法(アンスラサイクリン系とタキサン系)が治療の主体である。しかしながら、TNBC細胞はこれら治療に対する抵抗性を獲得する。治療抵抗性獲得に関わる分子機序の解明は、TNBC細胞に対する新規治療戦略を考案するために不可欠な課題である。
ゲノム科学の新しい知見として、癌細胞が様々な治療に対して治療抵抗性を獲得する際には、ゲノム上で転写制御領域を変化させ、治療抵抗性に関わる遺伝子の発現を制御している事が明らかになってきた。ヒトゲノム上のヘテロクロマチン領域に存在する遺伝子は、転写が抑制された状態にある。それに対して、ユークロマチン領域に存在する遺伝子は転写が活発に行われている。ATAC(Assay for Transposase-Accessible Chromatin)sequenceは、ゲノムワイドにクロマチンの構造をマッピングする事ができる実験手法である。
本年度は、TNBC細胞株にパクリタキセル(PTX)を曝露し、ATAC-sequence により、癌細胞のゲノムに惹起されたクロマチンの変化を解析した。抗癌剤に曝露後、極初期(6時間後)に変動するクロマチン領域(open chromatin 168 領域/ close chromatin 28 領域)を明らかにした。更に、この領域に存在するマイクロRNAに着目し、癌細胞における機能解析を進めた。
マイクロRNAは、細胞内で遺伝子の発現を制御し、1種類のマイクロRNAは数百から数千の遺伝子発現に関与している。そのため、マイクロRNAの発現異常は、細胞内のRNAネットワークの破綻を引き起こす。マイクロRNAの発現異常からさらなる探索を進める予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

抗癌剤をTNBC細胞株に曝露した後、初期に惹起されるゲノム上のクロマチンの変化をATAC-sequence により解析した。癌細胞のゲノム上で、遺伝子の転写活性が高い領域(open chromatin)、転写が抑制されている領域(close chromatin)を検出した。open chromatin 領域に存在する遺伝子は、抗癌剤耐性獲得に関与する遺伝子であり、close chromatin 領域に存在する遺伝子は、癌抑制機能を有する遺伝子であると仮定した。
これら領域には、短鎖1本鎖RNAであるマイクロRNAが多数存在していた。その中から、close chromatin 領域に存在するmiR-30c-1-3p および miR-30c-2-3pに着目し、TNBCにおける機能を調べた。マイクロRNAの特徴は、1種類のマイクロRNAが、数百から数千の蛋白コード遺伝子の発現を負に制御していることである。そのため、キーとなるマイクロRNAを起点として、マイクロRNAが制御する薬剤耐性に関わる機能性RNA分子ネットワークの探索が可能となると考える。
TNBC細胞にmiR-30c-1-3p および miR-30c-2-3pを核酸導入する事で、癌細胞の増殖能、遊走能、浸潤能が顕著に抑制された。この事から、これらマイクロRNAは、癌抑制機能を有していると判断し、更に、miR-30c-1-3p および miR-30c-2-3pが制御する癌促進型遺伝子の探索を行った。探索の結果、7種類の遺伝子(TRIP13、CCNB1、RAD51、PSPH、 CENPN、KPNA2、MXRA5)が、miR-30c-1-3p および miR-30c-2-3pが制御する癌促進型遺伝子である事が明らかになった。

Strategy for Future Research Activity

(1) miR-30c-1-3p および miR-30c-2-3pが制御する7種類の遺伝子(TRIP13、CCNB1、RAD51、PSPH、 CENPN、KPNA2、MXRA5)について、TNBCにおける機能解析を継続する。
(2) 今回検出したopen/close chromatin領域に存在するマイクロRNAについて、以下の解析を予定している。
(2-1) 乳癌細胞株にマイクロRNAを核酸導入し、癌細胞の増殖能、遊走能、浸潤能について機能解析を行う。
(2-2) 機能が明らかとなったマイクロRNAについては、マイクロRNAが制御する機能性RNAネットワークの探索を行う。明らかとなったマイクロRNAの標的分子について、抗癌剤との併用効果を調べる。
(3) 他の抗癌剤(アンスラサイクリン系等)をTNBC細胞に曝露した後、ATAC-sequence によりopen/close chromatin領域を調べる。

Causes of Carryover

他の細胞と同時にATAC-sequenceの解析を行う事ができたため、ATAC-sequenceに掛かる試薬について予算の節約が可能であった。今年度は、open/close chromatin領域に存在する他のマイクロRNAの機能解析と、マイクロRNAが制御する分子の探索に予算を使用する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] Oncogenic Targets Regulated by Tumor-Suppressive miR-30c-1-3p and miR-30c-2-3p: TRIP13 Facilitates Cancer Cell Aggressiveness in Breast Cancer2023

    • Author(s)
      Mitsueda Reiko、Toda Hiroko、Shinden Yoshiaki、Fukuda Kosuke、Yasudome Ryutaro、Kato Mayuko、Kikkawa Naoko、Ohtsuka Takao、Nakajo Akihiro、Seki Naohiko
    • Journal Title

      Cancers

      Volume: 15 Pages: 4189~4189

    • DOI

      10.3390/cancers15164189

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2024-12-25  

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