2022 Fiscal Year Research-status Report
人工知能を用いた医用画像と膵液バイオマーカーの統合解析による小膵癌診断技法の構築
Project/Area Number |
22K08765
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
畠 達夫 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (30806237)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水間 正道 東北大学, 大学病院, 講師 (80578675)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 膵癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
難治とされる膵癌の治療において、治癒の可能性を最大化させる唯一の方法は「早期診断と遺残のない切除」である。本研究では画像検査で同定困難とされる腫瘍径1.0cm以下の”小膵癌”の診断精度を劇的に向上させるべく、画像所見(医用画像)と膵液所見(膵液中のバイオマーカー)を人工知能(AI)技術を用いて統合解析し、膵癌の発症予測・早期診断法を確立することを目的とした。 具体的には連続膵液細胞診目的に採取された高純度な膵液サンプルを用いて生体内分子の統合的解析(Trans-omics)と医用画像解析(Radiomics)を総合したマルチオミックス(Multi-omics)解析を行い、小膵癌を高精度に検出しうる診断アルゴリズムを構築することである。 研究計画の段階から膵液サンプルの収集を継続して行っている。主に小膵癌の存在を疑って連続膵液細胞診を行った膵液サンプルが集積され、これまで85名から420サンプルを得ることができた。これらのサンプルからDNAを順次抽出し、腫瘍由来DNAの含有量を精査するべく、KRAS遺伝子変異アレル頻度をデジタルPCRで測定した。また、膵癌の前癌病変である膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)と臨床的に診断される症例にはGNAS遺伝子変異アレル頻度も合わせて測定した。連続膵液細胞診を行った膵液サンプルを用いて検討を加えると、同一症例から採取されたサンプルであっても、サンプル間の腫瘍由来DNAの含有量にはかなりばらつきがあることが明らかとなった。さらには、細胞診断で細胞成分が少ないが故に検体不適正と診断された症例であってもKRAS遺伝子変異アレル頻度が高値を示すことがあり、このようなサンプルについては腫瘍由来DNAはセルフリー分画にも存在することを示唆するものであった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検体数が多く、DNAの抽出からデジタルPCRまでを1. 膵嚢胞を認め、非浸潤性のIPMCの存在を疑って膵液細胞診を行ったコホート、2.膵管所見のみで膵腫瘤を認めず、膵管内高度異型上皮(high-grade PanIN)の存在を疑って膵液細胞診を行ったコホート、にそれぞれ分けて検討を加えている。まず最初の膵嚢胞のコホートを対象にDNAの抽出およびデジタルPCRによるKRAS/GNAS遺伝子変異アレル頻度を測定した。 また、データベースによる調査ならびに文献検索を行い、膵癌に得意的なメチル化DNA候補遺伝子をいくつかピックアップし、プライマーとプローブのデザインを行っている。さらに、抽出されたDNAからバイサルファイト変換を行い、メチル化PCRをデジタルPCRプラットフォームで行い際の条件検討を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
膵嚢胞のコホートに対して、画像所見とバイオマーカーの多寡の関連性について検討を加える。 High-grade PanINのコホートに対しては引き続きサンプル収集とDNA抽出、デジタルPCRによる KRAS遺伝子変異アレルの測定を行い、同時に医用画像(MRI, ERCP, CT)などのデータ収集も行う。 メチル化DNAマーカーについてはprimer, probeのテストを行った後、膵癌症例、慢性膵炎症例から任意抽出でパイロットコホートを作成し、診断精度について検討する。
|
Research Products
(5 results)