2022 Fiscal Year Research-status Report
PTEN遺伝子変異による上皮間葉移行に着目した大腸癌の簇出・低分化胞巣の機序解明
Project/Area Number |
22K08812
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田島 陽介 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30757505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須田 康一 藤田医科大学, 医学部, 教授 (10348659)
松岡 宏 藤田医科大学, 医学部, 教授 (40367719)
秋元 信吾 藤田医科大学, 医学部, 講師 (40937124)
島田 能史 新潟大学, 医歯学系, 講師 (20706460)
中野 雅人 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (70744788)
中野 麻恵 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (20790281)
松本 瑛生 新潟大学, 医歯学総合病院, 専任助教 (30769401)
山井 大介 新潟大学, 医歯学総合病院, 専任助教 (40965737)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | PTEN / PDC / Budding / 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
PTEN遺伝子は、各種固形癌において重要な癌抑制遺伝子である。PTEN蛋白質は上皮間葉転換(Epithelial-mesenchymal transition: EMT)を抑制的に制御している。EMTは各種固形癌がリンパ節や遠隔臓器に転移するための重要な分子機構であるため、PTEN遺伝子変異が癌細胞のEMTを惹起することにより癌の進展に寄与すると考えられる。一方、大腸癌におけるEMTと関連する病理組織学所見として、大腸癌発育先進部の簇出(Budding)および低分化胞巣(Poorly differentiated cluster: PDC)が挙げられる。BuddingやPDCは大腸癌におけるリンパ節転移や遠隔再発のリスク因子であるが、PTEN遺伝子変異との関連は未だ明らかにされていない。今回我々は、「大腸癌発育先進部のBuddingおよびPDCが、PTEN遺伝子変異により促進されたEMTの表現型である」との仮説を立て、本研究を立案した。本研究の目的は、「PTEN遺伝子変異が大腸癌の発育・進展にもたらす臨床的・病理学的・分子学的影響についての研究基盤を確立すること」である。 本年度は、Stage I-IIIの対象症例について、1) 対象症例のPTEN遺伝子変異の有無、2)BuddingやPDCを含めた臨床病理学的因子につきデータを集積し、統計学的解析を行い、PTEN変異と関連のある臨床病理学的因子を抽出した。また、各Stageの無再発生存率や全生存率を算出し、PTEN変異や補助療法との関連を統計学的に解析した。また、PTEN遺伝子変異と関連があると報告されている腫瘍免疫学的マーカーの分析を行い、解析に加えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、がん遺伝子パネル検査を実施した大腸癌約300例について、Budding、PDC、TILの病理学的評価をHE染色標本にて行った。症例を選択してPD-L1免疫組織化学染色を施行し、PD-L1発現のGradingを行った。Ki-67免疫組織化学染色を行い、増殖能を評価した。MSI、TMB、他の遺伝子変異の有無についても解析を行った。PTEN遺伝子野生型・変異型のStage I-III大腸癌について無再発生存率・全生存率を算出した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までStage I-III大腸癌におけるPTEN変異の意義について解析を行ってきた。今後はStage IV大腸癌におけるPTEN変異の意義について同様の解析を進めていく。具体的には、Stage IV大腸癌における全生存率、化学療法奏効率、臨床病理学的因子について、PTEN変異の有無で比較を行う。同時に、PD-L1、MSI、TMBなど免疫療法に関連した各マーカーにおいてもPTEN変異の有無で比較を行う。Stage I-IVについて解析と並行して、成果の学会発表や論文発表の準備を進めていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため学会の現地参加の機会が減少したため、旅費にかかわる費用が少なくなったためである。今後は、英文論文作成にかかる費用として使用する予定である。
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