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2023 Fiscal Year Research-status Report

抗癌剤内包型フタロシアニン修飾リポソームを用いた胆嚢癌に対する新規治療法開発

Research Project

Project/Area Number 22K08860
Research InstitutionKansai Medical University

Principal Investigator

海堀 昌樹  関西医科大学, 医学部, 教授 (30333199)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 田村 裕  千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (50263174) [Withdrawn]
岡本 芳晴  鳥取大学, 農学部, 教授 (50194410) [Withdrawn]
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords胆道癌 / 乳癌 / 光線力学療法 / ドラッグデリバリーシステム / フタロシアニン / インドシアニングリーン / 癌免疫誘導
Outline of Annual Research Achievements

光免疫療法とは、光線力学療法(PDT)に加え、PDTによる一重項酸素生成で障害された癌細胞から放出される癌抗原を細胞殺傷性T細胞(CTL)に認識させることで、局所のみならず全身性に抗腫瘍免疫応答を惹起する治療法である。本研究では光感受性物質であるフタロシアニン誘導体を用い、独自に開発したフタロシアニン修飾リポソーム(Ph-Lipo)に低容量の抗がん剤を内包させた抗がん剤内包型Ph-Lipo(Ph-Lipo-REFLECT)の抗腫瘍効果を検討した。Ph-LipoはEnhanced Permeability and Retention Effectにより腫瘍特異的に集積し、内包した抗がん剤を効率よく腫瘍へ輸送できるドラッグデリバリーシステムの側面も併せ持っている。新規薬剤であるPh-Lipoの実験と並行し、同じく光感受性物質であるインドシアニングリーン(ICG)を用いたICG-Lipoの抗腫瘍効果を検討した。マウス乳がん細胞を両側鼠蹊部皮下に移植した2箇所移植モデルを作成し、抗がん剤パクリタキセルを内包型ICG-Lipo(ICG-Lipo-PTX)を投与、片方の腫瘍にのみ光照射を行なったところ、照射を行わなかった対側の腫瘍でも抗腫瘍効果を確認できた。さらに治療後のマウスの脾臓細胞を用いてELISPOTassayによりサイトカイン分泌を測定し、IFN-γ、IL-2の分泌亢進およびIL-10の分泌抑制がみられた。これは照射側での抗腫瘍効果により傷害された癌細胞から癌抗原が放出され、CTLが活性化し非照射側の癌細胞を攻撃したためと推察される。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

①Ph-Lipo-REFLECTの安全評価
光感受性物質フタロシアニンに脂質修飾を施したPh誘導体をリポソーム表面に修飾したPh-Lipoに抗癌剤としてREFLECTを内包したPh-Lipo-REFLECTを構築した。現在動物実験において安全性試験、毒性試験を進めている。
②胆道癌モデルマウスでの動物実験
Ph-Lipo-REFLECTと胆道癌移植マウスでの実験に向け胆道癌モデルマウスを作成していたが、移植細胞の生着率が安定せず、また移植した腫瘍の増大スピードが均一ではないため治療効果の正確な評価が難しいと判断し、先行実験で一定の効果を確認できている乳癌モデルマウスでの実験へ変更した。Ph-Lipo-REFLECTの安全性評価と並行し、同種薬剤であるICG-Lipo-PTXを用いた2ヶ所移植モデルでの癌免疫誘導の評価を行なった。ICG-Lipo-PTX投与群において、光照射側での腫瘍抑制および非照射側での腫瘍抑制効果を確認できた。また治療群においてT細胞が分泌するIFN-γやT細胞、NK細胞の分化・活性化に寄与するIL-2の分泌亢進が認められた。これは光照射を行なった腫瘍に対する局所治療によりT細胞が活性化され、腫瘍に対する全身性の免疫が亢進し、光照射を行っていない腫瘍に対してもT細胞が癌細胞を認識し攻撃できるようになったことを示唆している。さらに治療後の腫瘍組織の免疫染色において、光照射を行なった腫瘍組織のみならず、照射を行わなかった腫瘍組織でも未治療コントロールと比較してCD4およびCD8陽性細胞の数が多い傾向が確認できた。これは癌免疫誘導によって活性化されたT細胞による抗腫瘍効果を支持する。今後Ph-Lipo-REFLECTにおいても同様の成果が期待される。

Strategy for Future Research Activity

Ph-Lipo-REFLECTを用いたPDTについて以下の検討を行う
①乳癌細胞移植マウスに対しPh-Lipo-REFLECTの抗腫瘍効果を検討する
乳癌細胞移植マウスに対し、Ph-Lipo-REFLECTを投与しPDTを行うことの腫瘍抑制効果を検討する。また複数箇所移植モデルおよび肝転移モデルを作成し、ICG-Lipo-PTXと同様に光照射を行わなかった腫瘍においても抗腫瘍効果が得られるかを検討する。その際、癌免疫誘導の根拠として脾臓細胞を用いたサイトカイン分泌変動および治療後の腫瘍組織の免疫染色による免疫細胞浸潤を測定する。安全性の評価として皮膚熱傷や体重減少、内包抗がん剤の血中濃度推移などを確認する。
②乳癌細胞を用いた腹膜播種モデルにおいて、Ph-Lipo-REFLECTの全生存期間延長効果を検討する
腹膜播種モデルにPh-Lipo-REFLECTを投与し、腹壁より光照射を行うことで全生存期間の延長効果が得られるかを検討する。治療中の腹水の量、性状の推移を評価する。また治療後、光照射野に含まれる肝臓や腸管を病理学的に検討し、繊維化などの有害事象が生じていないかを確認する。

Causes of Carryover

当初の計画では胆道癌モデルマウスを作成していたが、移植細胞の生着率が安定せず、また移植した腫瘍の増大スピードが均一ではないため先行研究で一定の成果を確認している乳癌モデルマウスを使った実験に変更することとなった。そのため、胆道癌モデルマウスでの抗腫瘍効果の検討及び再現性検証の実験のために予定していたマウスおよび消耗品の購入は執行せず、乳癌モデルマウスを用いた実験での必要最小限の購入に止まった。よって昨年度に使用を見込んだ研究費の執行が計画通り進まず、一部を次年度に繰越す事となった。今後の研究計画の中で、乳癌モデルマウス、肝転移モデルマウス、腹膜播種モデルマウスにおける全生存期間延長効果の検討を行うための消耗品の購入、及び分析の委託業務については令和6年度に繰り越した研究費より執行する計画を進めている。

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Published: 2024-12-25  

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