2022 Fiscal Year Research-status Report
生体吸収性小口径人工血管の長期開存性担保の為の新生内膜肥厚の検討
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22K08911
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
筒井 真博 旭川医科大学, 医学部, 助教 (00910267)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生体分解性ポリマー / 自己組織再生 / 新生内膜 / 内膜肥厚 |
Outline of Annual Research Achievements |
冠動脈バイパスのような細径人工血管の血行再建術では、現在でも自家血管の使用に依存する状態が続いている。その為、安定供給可能な小口径人工血管の創出が望まれている。自家静脈グラフトの場合は、内膜肥厚の発生が長期開存を阻む因子である。我々はこれまでに、生体分解性ポリマーであるポリカプロラクトンを用いて小口径人工血管(PCLグラフト)を作成し、小動物モデルで自家血管様に内膜の新生が生じることを示した。本研究では、PCLグラフトにおいても内膜肥厚が発生するのかどうか、発生した場合のその機序と予防策を明らかにし、作成した小口径人工血管の長期開存性を担保することを目指している。 これまでの、ラット腹部下行大動脈に移植したPCLグラフトは、8週間以内にグラフト内腔全域が新生内膜の生着を示すことが確認できている。2022年度は、PCLグラフトは長期間で内膜肥厚による閉塞をきたすかどうかを確認するために、ラットおよびウサギで長期観察のためのグラフト移植を行った。ラットを用いた移植モデルでは、1年を観察期間としてサンプルの採取を開始し、1年間の開存が得られている。ウサギでは内径3mmのPCLグラフトを作成し、腹部下行大動脈に移植した。ラットと比較して虚血に弱く、また血栓形成しやすいためモデルの作成に時間がかかったが、2週間の短期開存が得られるモデル作成ができたため、長期観察用のグラフト移植を開始した。ウサギでは2-3年の観察期間を計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラットよりも長期観察が可能なウサギの移植モデルの作成を行ったが、外科的なハードルに加え、PCLグラフトの短期抗血栓性の課題に直面した。PCLグラフトの抗血栓性の向上に取り組み、ウサギでの実験開始が遅れた。しかし、親水性ポリマーをPCLグラフトに付加することにより、PCLグラフトの親水性が向上し血液の付着を押さえられることなどの発見も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
PCLグラフトを長期開存させ内膜肥厚の評価を行うために人工血管径を大きくし、ラットよりも長期観察が可能なウサギの腹部大動脈への移植モデルで実験を行う。モデルは確立できたため、PCLグラフトの長期開存性評価と内膜肥厚発生の有無を確認する。内膜肥厚が起きた場合にNFkBの関与があるかどうかを検討し、PCLグラフトの内膜肥厚メカニズムを解明し抑制方法の開発を行う。
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Causes of Carryover |
ウサギでの手術モデルの作成に難航し、ウサギでの実験を予定通りに開始できなかった。モデルが出来たため、計画した実験を次年度に行えるように予算を繰り越した。
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