2023 Fiscal Year Research-status Report
長時間脳波データ解析とプロテオミクスによる包括的な急性脳症の病態解明
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22K09119
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西山 将広 神戸大学, 医学研究科, 客員准教授 (50741667)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 急性脳症 / 熱性けいれん / てんかん重積状態 / バイオマーカー / 脳波 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、発症からの臨床経過を分単位で記録したデータベースをもとにCOVID-19に関連した急性脳症および熱性けいれんの臨床像を明らかにした。さらに、データベースと照合した患者試料(血清、髄液、脳波)を用いて、急性脳症および熱性けいれんにおけるバイオマーカー測定を行った。今年度の補助金は、上記のバイオマーカー測定の試薬費や実験器具の購入費に充てられた。 SARS-CoV-2とSARS-CoV-2以外のウイルスによる急性脳症および熱性けいれんの神経症状および管理方法の違いを明らかにした。熱性発作を主訴として入院した症例を対象として、SARS-CoV-2に関連した熱性発作(COVID-19群、N=20)とSARS-CoV-2以外のウイルスによる熱性発作(non-COVID-19群、N=85)を比較し、以下の知見を得た。1)COVID-19群は、non-COVID-19群より年齢が高かった。2)神経症状や神経学的後遺症の頻度は、COVID-19群とnon-COVID-19群で同等であった。3)脳波のモニタリングはCOVID-19群での施行頻度が低かった。COVID-19群では、意識障害が遷延したにも関わらず脳波モニタリングを行われていない症例が多く、感染対策の影響が示唆された。 データベースと照合した患者試料(血清、髄液、脳波)を用いて、急性脳症および熱性けいれんにおける、臨床像と脳波および血液中のタンパク動態の関連について測定しデータを集積しているところである。 上記のように、臨床データと照合した症例蓄積と検体の回収システムが確立するとともに、COVID-19に関連した熱性けいれんおよび急性脳症の特徴についての新たな知見が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画で予定していたように症例蓄積と検体回収が順調にすすみ、臨床データと検体情報を照合する系が順調に動いている。さらに、血清、髄液、脳波を用いた測定も行うことができ、いくつかの重要な知見も得られたため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も新たな症例蓄積と検体の回収を継続的に行い、症例数を増やしていくとともに、患者試料(血清、髄液、脳波)を用いた解析を継続していく。
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Causes of Carryover |
今年度は当初の予定よりも1検体あたりの試薬代を少なく抑えることができた。その他の物品費も当初見込んでいたよりも安く利用することができたため、今年度は使用額が少なかった。次年度は、試薬代および物品費が増加する予定であるため、より多くの費用を要する見込みが高い。また、研究打ち合わせや研究成果発表のための旅費などの費用もより多くを要する可能性がある。
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Research Products
(18 results)