2023 Fiscal Year Research-status Report
Alternative treatment of Yamakagashi bites
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22K09193
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Research Institution | St. Luke's International University |
Principal Investigator |
一二三 亨 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 医長 (30383756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 隆史 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (20381171)
登尾 一平 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (00832007)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ヤマカガシ咬傷 / 抗毒素 / 血清療法 / 蛇毒咬傷 / DIC / 線溶 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヤマカガシ咬傷は出血活性の毒性が強く、重篤な場合は線溶亢進型の汎発性血管内血液凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC))を起こして死に至る傷病である。その根治的治療薬であるヤマカガシ抗毒素は2000年に厚労省研究班にて製造した未承認薬のため、バイアル製剤の標準的な使用期限の10年を大きく超過していつ何時その効果が失活してもおかしくない状況である。そのため、近年DIC治療薬として臨床使用されているリコンビナントトロンボモジュリンα、メシル酸ナファモスタット、トラネキサム酸、アンチトロンビンを用いてヤマカガシ抗毒素の代替薬になりうるかどうかを調べることとした。本年度は、トラネキサム酸及びアンチトロンビンについて、我々が作成したラットDIC発症モデルを用いてヤマカガシ毒素の中和活性を調べるために、経時的に採血したラット血液の凝固系因子の測定を2回の実験、各4頭ずつ実施した。しかしながら、陽性対照群として置いたヤマカガシ毒素のみ投与群で、72時間、96時間生存と毒素の効果が弱い現象が観察された。また、トラネキサム酸投与群の4頭の内2頭は薬剤投与後2時間で死亡し、残りの2頭は96時間生存と相反する結果となった。アンチトロンビン投与群では、1頭が薬剤投与後8時間で死亡し、残りの3頭は96時間生存とこちらも相反する結果となった。このように陽性対象、実験群共に効果がはっきりしない結果となった。このことから、ヤマカガシ毒素の効果が低下している可能性があるため、まずは毒素の効果について検討する。その後にそれぞれの治療薬を用いてヤマカガシ毒素によるラットDICモデルでの、治療効果を再度確認する。その後にトロンボモジュリンα薬と他の抗DIC薬(トラネキサム酸及びアンチトロンビン)を併用投与も検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヤマカガシ咬傷は出血活性の毒性が強く、重篤な場合は線溶亢進型の汎発性血管内血液凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC))を起こして死に至る傷病である。その根治的治療薬であるヤマカガシ抗毒素は2000年に厚労省研究班にて製造した未承認薬のため、バイアル製剤の標準的な使用期限の10年を大きく超過していつ何時その効果が失活してもおかしくない状況である。また、この抗毒素は馬血漿由来の製剤であるためにアナフィラキシーや血清病などの副反応が惹起される可能性もある。そのため、近年DIC治療薬として臨床使用されているリコンビナントトロンボモジュリンα、メシル酸ナファモスタット、トラネキサム酸、アンチトロンビンを用いてヤマカガシ抗毒素の代替薬になりうるかどうかを調べることとした。本年度は、トラネキサム酸及びアンチトロンビンについて、我々が作成したラットDIC発症モデルを用いてヤマカガシ毒素の中和活性を調べるために、経時的に採血したラット血液の凝固系因子の測定を2回の実験、各4頭ずつ実施した。しかしながら、陽性対照群として置いたヤマカガシ毒素のみ投与群で、72時間、96時間生存と毒素の効果が弱い現象が観察された。また、トラネキサム酸投与群の4頭の内2頭は薬剤投与後2時間で死亡し、残りの2頭は96時間生存と相反する結果となった。アンチトロンビン投与群では、1頭が薬剤投与後8時間で死亡し、残りの3頭は96時間生存とこちらも相反する結果となった。このように陽性対象、実験群共に効果がはっきりしない結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に当たる令和6年度は、本研究の目的であるヤマカガシ咬傷治療薬として保険承認薬として臨床使用されている抗DIC薬(トラネキサム酸及びアンチトロンビン)の可能性についてのまとめの年度と位置付ける。具体的には、昨年度のトラネキサム酸及びアンチトロンビンについて、その実験結果が予想と大きく反した原因を検索する。またヤマカガシ毒素の効果が低下している可能性があるため、まずは毒素の効果について検討する。その後にそれぞれの治療薬(トラネキサム酸及びアンチトロンビン)を用いてヤマカガシ毒素によるラットDICモデルでの、治療効果を再度確認する。この実験結果が一連の今回の研究シリーズのマイルストーンとなるはずである。 その後にトロンボモジュリンα薬と他の抗DIC薬(トラネキサム酸及びアンチトロンビン)を併用投与も検討する予定である。得られた結果を学術集会や学術雑誌に発表を行う予定である。本研究では、実臨床での使用を高い確率で想定するため、100%の効果ではなくて部分的な効果であったとしても十分に実臨床での効果を発揮する可能性が高いと考えられている。ヤマカガシ咬傷は本邦だけではなく東南アジア、中国、ロシアなどで起こりうる咬傷であり、加えてヤマカガシ抗毒素は本邦にしか存在しないため、ヤマカガシ咬傷治療への抗DIC治療薬の効果を証明することは大きな世界的成果と言える。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも実験の進捗がやや遅れてはいるが、ほぼ順調に経過している。ヤマカガシ毒素に関しては、当初使用していたものと別のヤマカガシ毒素を入手したことで安定的な実験結果(コントロール)が得られることと期待している。ヤマカガシ抗毒素の代替薬の候補として考えられているそれぞれの治療薬(トラネキサム酸及びアンチトロンビン)を用いてヤマカガシ毒素によるラットDICモデルでの治療効果を再度確認する予定である。その後にトロンボモジュリンα薬と他の抗DIC薬(トラネキサム酸及びアンチトロンビン)を併用投与も検討する予定である。現在の知見では、一つの薬剤というよりかは複数の薬剤を使用するコンビネーションの方が成果が期待されており、その分実験系としては複雑かつ費用を要する形となる。得られた結果を学術集会での発表のみならず、学術雑誌に発表を行う予定である。結果によっては、東南アジア、中国、ロシアにおいて大きな影響をもたらすため、海外での発表も視野に入れる。
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Research Products
(1 results)