2023 Fiscal Year Research-status Report
EVI1によるPDGFRβ転写制御とグリオブラストーマ血管新生機構について
Project/Area Number |
22K09237
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
水口 麻子 宮崎大学, 安全衛生保健センター, 講師 (00647472)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横上 聖貴 宮崎大学, 医学部, 准教授 (40284856)
山下 真治 宮崎大学, 医学部, 講師 (40468046)
渡邉 孝 宮崎大学, 医学部, 客員研究員 (90573337)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | グリオブラストーマ / 転写因子 / EVI1 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究を継続し、グリオブラストーマ培養細胞を用いて転写因子EVI1およびEGFR,PDGFRbの発現解析を実施した。
① U87MG/U251MG/A172に対し、既存のEGFR阻害剤(チルホスチンAG1478)を用いてEGFR阻害を行い、標的分子の発現変動解析を実施した。まずは、AG1478の濃度おおよび培養時間に関する最適条件を検討するための予備実験を実施した。その結果、AG1478を25~50μMの濃度で培地に添加し24時間培養すると、mRNAレベルでEGFRの発現低下を認めるものの、その一方で、培養細胞も強いダメージを受け死滅することが分かった。この予備実験での解析結果では、EVI1もmRNAレベルで発現抑制をきたす傾向を認めた。このEVI1の発現抑制傾向が、EGFR阻害もしくは細胞死のどちらに起因するものかを調べるため、AG1478の濃度を5μMまでさげて、改めて解析を行った。その結果、U87MGでは顕微鏡での観察上では細胞のダメージは認めず、96時間まで培養時間を延長する事ができた。また、EVI1およびPDGFRbの発現量がmRNAレベルで増加する傾向を認めた。
②血管新生におけるEVI1の機能について解析するため、グリオブラストーマ培養細胞を、低酸素(酸素濃度1%)下および無血清培地で24時間培養し、標的分子の発現変動解析を行った。この培養条件では、EVI1のmRNA発現量は減少傾向を示す一方、PDGFRbのmRNA発現量は上昇傾向を示した。この実験では、低酸素下のみ、無血清培地のみという条件でも発現解析を実施しており、その解析結果も含めて検討すると、EVI1の発現は低酸素により影響を受け、PDGFRbは無血清の影響をより強く受けるという結果を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の着想の元となった仮説は、「転写因子EVI1がEGFRおよびPDGFRbの上流において、これらの分子の発現制御を行っている」というものであった。しかし、2023年度に実施した実験からは、EVI1とEGFRが複数の培養条件下でパラレルな発現変動傾向を示すのに対し、PDGFRbは条件によっては必ずしもパラレルな発現変動を示さない場合があった。そのため、研究の方向性について再度検討中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、EVI1/EGFR/PDGFRbに標的を絞り、血管新生における三者の相互作用に着目してin vitroにおける発現解析を継続する。また、グリオブラストーマ患者の病理組織切片からレーザーマイクロダイセクション法で切り出したサンプルについても解析する予定である。
|