2022 Fiscal Year Research-status Report
膀胱がん微小環境におけるPLD1/2によるイムノメタボリズムの制御機構の解明
Project/Area Number |
22K09466
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
神鳥 周也 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50707825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 友和 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10633191)
西山 博之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20324642)
船越 祐司 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30415286)
志賀 正宣 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (60840551)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 膀胱癌 / 尿路上皮癌 / がん免疫微小環境 / イムノメタボリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
膀胱がん微小環境ががんの進展や治療奏効性に影響を及ぼす重要な因子であり、がん免疫療法に対する抵抗性獲得に寄与することが明らかとなってきた。本研究で着目するホスホリパーゼD(PLD)はホスファチジルコリンを加水分解して、ホスファチジン酸(PA)を産生するリン脂質代謝酵素であり、PAは脂質性シグナル伝達分子として多彩な生理機能を有している。このような加水分解活性を有する哺乳類PLDとして、PLD1とPLD2の2つのアイソザイムが存在する。これまでにPLDはがん細胞の増殖や浸潤を促進することが報告されているが、がん免疫微小環境における役割は未だ十分に解明されていない。予備実験としてPLD1/PLD2-KOマウスにおけるBBN膀胱発がん実験を行った。興味深いことに、PLD1-KOマウスでは発がんが抑制され、PLD2-KOマウスでは促進された。この結果から、膀胱がんにおいてPLD1とPLD2のがん免疫微小環境における役割が異なることが示唆された。そこで、PLDによるイムノメタボリズムに基づく、がん免疫微小環境への影響を明らかにし、新たながん複合免疫療法の開発への基盤を構築することを目的とした。 マウス膀胱がん細胞株MB49による皮下移植モデルにおいても同様にPLD2-KOマウスでは腫瘍形成が促進された。BBN膀胱発がんモデルにおける腫瘍組織を用いてRNAシークエンスを実施した。パスウェイ解析では、PLD2-KOマウスではMSP-RON Signaling in Macrophages Pathway、S100 Family Signaling Pathwayが亢進しており、その発がん過程において腫瘍関連マクロファージ(TAM)や骨髄由来抑制細胞(MDSC)が関与している可能性が示唆された。皮下移植モデルにおける腫瘍組織では、PLD2-KOによりFACSでTAMの増加を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウス膀胱がん細胞株MB49による皮下移植モデルにおいて、BBN膀胱発がんモデルと同様にPLD2-KOマウスでは腫瘍形成が促進されることが明らかとになった。BBN膀胱発がんモデルにおける16週時点の腫瘍組織を用いてRNAシークエンスを実施した。PLD2-WTマウスとPLD2-KOマウスにおける変動遺伝子を抽出し、パスウェイ解析を行ったところ、PLD2-KOマウスではMSP-RON Signaling in Macrophages Pathway、S100 Family Signaling Pathwayが亢進しており、その発がん過程において腫瘍関連マクロファージ(TAM)や骨髄由来抑制細胞(MDSC)が関与している可能性が示唆された。さらに、皮下移植モデルにおける腫瘍組織を用いてFACSでTAMとMDSCの評価を行った。PLD2-KOマウスでは、PLD2-WTマウスと比較して腫瘍内のTAMの増加を認めたが、MDSCは差を認めなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
BBN膀胱発がんモデルにおける膀胱組織を用いて免疫化学染色を行い、腫瘍内を構成する免疫細胞の評価を行い、PLD2-KOマウスにおけるがん微小免疫環境の全体像を把握する。併せて同組織で実施しているRNAシークエンスの結果から、デジタルサイトメトリーを行い、免疫化学染色の結果との比較を行う。また、皮下移植モデルにおける腫瘍組織からPLD2-WTとPLD2-KOのTAMを分離し、RNAシークエンスを行う。このトランスクリプトーム解析によりPLD2-WTとPLD2-KOのTAMとしての機能の差異を検討する。さらに、この結果に基づきin vitroにおける細胞増殖能、遊走能や浸潤能の評価を行うとともに、サイトカイン分泌能等の検討を行う予定である。
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