2022 Fiscal Year Research-status Report
シリコン微細粒子経口投与によるラット異系腎移植モデルにおける免疫応答への効果
Project/Area Number |
22K09470
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿部 豊文 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (90750894)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 和明 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10648017)
谷口 歩 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10845225)
野々村 祝夫 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30263263)
今村 亮一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40456976)
田中 亮 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60909654)
中澤 成晃 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (80759530)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 腎移植 / 抗体関連型拒絶反応 / ラット / 水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
腎移植は末期腎不全患者に対する最良の治療法であるが、免疫抑制療法が進歩した現在において最も多い移植腎廃絶理由は慢性拒絶反応である。慢性抗体関連型拒絶反応はあらゆる治療に抵抗性で新たな治療法の確立が望まれている。水素は強力な活性酸素種であるヒドロキシラジカルを消去し酸化ストレスを軽減することが知られているが、可燃性ガスであること、分子量が小さく拡散しやすいことから保管が難しい。われわれはシリコン微細粒子が水と反応し水素を発生することを応用し、シリコン微細粒子を経口投与し腸管内で持続的に水素を産生させる新たな水素投与法を考案した。本研究ではシリコン微細粒子の経口投与がラット異系腎移植モデルにおいて免疫応答に与える影響を明らかにし、慢性拒絶反応の治療や発症予防法になりうるか検討する。 F344ラットをドナー、LEWラットをレシピエントに用いた異系腎移植を行った。同モデルを確立し、病理学的に抗体関連型拒絶反応をきたすことを確認した。通常飼料群と移植1週間前から通常飼料にシリコン微細粒子を添加した群を比較し、治療群では有意に移植後生存率、腎機能(血中クレアチニン濃度、尿中タンパク排泄量)の改善、病理組織学的な改善(PAS染色、C4d染色)が確認された。機序として、酸化ストレスの軽減(血中MDA測定)、炎症性サイトカイン・ケモカイン産生の軽減を認めた。今後、抗体価の測定や病理組織の詳細を検討し、シリコン微細粒子の投与が免疫反応におよぼす影響を詳細に解析する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定どおり移植モデルの作成、シリコンナノ粒子の治療効果が確認され、機序の解明を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
慢性拒絶モデルにおける治療効果が確認され、機序について、抗体価の測定、免疫染色を行ってシリコン微細粒子が免疫反応に及ぼす影響を検証し、論文発表に向けて準備を進める。また次のモデルとして、急性拒絶モデルの作成を予定している。
|
Causes of Carryover |
研究を進めていくうえで必要に応じて研究費を執行したため、当初の見込み額と執行金額が異なった。
|