2023 Fiscal Year Research-status Report
ROSシグナルの挙動と反応不均一性を解明し新規フラボノイドによる骨再生を目指す
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22K10294
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
辻澤 利行 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (60265006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松原 琢磨 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (00423137)
永野 健一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (60834348)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 活性酸素種 / 抗酸化作用 / 骨芽細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨再生(形成)をつかさどる骨芽細胞は間葉系幹細胞から分化し,自身が産生した骨基質の中に潜り込み,骨細胞となる.生体を構成する細胞は酸素を取り込み,化学的反応性を利用してミトコンドリア内でエネルギー代謝行うことにより生命活動を営んでいる.そしてこの代謝過程で活性酸素(reactive oxygenspecies; ROS)が発生する.ROSは“酸化ストレス”と呼ばれる生体損傷をもたらし,迷惑な物質として認識されている(Harman DJ et al., 1956).ROSシグナルが過剰に活性化すると間葉系幹細胞は骨芽細胞ではなく,脂肪細胞へと分化してしまうため(Atashi F et al., 2015),再生医療を含めさまざまな状況で抗酸化物質の有用性が示されている,しかしながら,組織再生の過程ではROSの生成に関わる多様な遺伝子が発現し,適切なROSシグナリング活性化とそれに誘導される適切な炎症反応が必要である(Ferrarelli LK et al., 2013).実際に骨再生過程でも低レベルのROSシグナルは骨芽細胞分化を促進する(Atashi F et al., 2015).従って,ROSを一方的に悪者と見なすことなく,骨再生過程に必須のROSシグナリングを正確にモニタリングし,ROSシグナルの適切な制御による骨再生医療を目指す必要性がある.これまで,ROSの制御因子としてビグナシアニジンとノビレチンという2つのフラボノイドに着目して研究を行ってきた.ビグナシアニジンとノビレチンはともに間葉系幹細胞の骨芽細胞分化を促進した.特に,ノビレチンはNF-kBシグナルを抑制することで骨芽細胞分化を促進するメカニズムを見出すことができた.さらにミツバチ関連素材のローヤルゼリーを用いて,間葉系幹細胞を前処理すると,抗酸化作用を通じて骨芽細胞分化が制御されることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに関連する研究成果を2本の論文としてアクセプトさせているために研究の進捗状況は順調であると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
ローヤルゼリーはさまざまな化合物の混合物であり,今後は抗酸化作用を誘導する化合物の同定を行っていく予定である.
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Causes of Carryover |
COVID19の余波が残りでWeb開催の学会もあり,想定していたよりも旅費がかからなかったため.また,実験が順調に進んでいるため,想定していたよりも消耗品費がかからなかったため.
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