2022 Fiscal Year Research-status Report
「現代における診療拒否の諸相」の解明を通じた医療提供及び患者支援に関する研究
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22K10480
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Research Institution | Okayama Shoka University |
Principal Investigator |
宍戸 圭介 岡山商科大学, 法学部, 教授 (10524936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟屋 剛 岡山商科大学, 法学部, 教授 (20151194)
加藤 穣 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (20727341)
中塚 幹也 岡山大学, 保健学域, 教授 (40273990)
張 瑞輝 名古屋経済大学, 法学部, 准教授 (70732246)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 診療拒否 / 応招義務 / 臓器移植 / 宗教的拒否 / メディカル・ツーリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
従来は、診療拒否のケースと言えば、交通事故や急患などに対するもの(いわゆる「たらい回し」)が中心であった。一方、近年ではそのようなケースに該当しない診療拒否の事例も、しばしば報告されている。そのような今日的な診療拒否の問題を通じて、適切な医療の提供のあり方、また、患者支援の方途を探ることが、本研究の中心的課題である。 令和4年度は、A. 国内の実態調査およびB.理論的検討を進める予定であった。コロナ禍の学術研究への影響は、すでに多くの研究者が指摘するところであるが、この状況は徐々に改善しつつある。 1. 第9回釧路生命倫理フォーラム(令和4(2022)年8月27日-28日@オンライン)を開催した。当初は現地開催を予定したものの、諸般の都合で急遽オンラインで開催せざるを得なかった。 2. International Society for Clinical Bioethics(国際臨床生命倫理学会)の第19回年次大会(令和4(2022)年11月11-12日@岡山商科大学)を、研究代表者の宍戸が大会長、同分担者の粟屋が実行委員長となり、"Bioethics Renaissance: Building Peace, Dialogue and Coexistence."とのテーマのもとハイブリッド方式で開催した。本大会では、バングラデシュやインドの臓器移植に関する状況などを(部分的にではあるが)伺うことができた。また、エホバの証人の方からも、日本の状況について海外に発信いただいた。 3. タシケント法科大学による招待講演(令和5年(2023)年3月7日@タシケント)として、研究分担者の張が"Considering "Medical Care and Law" from the Perspective of Civil Law"と題した報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ウクライナ情勢が国外調査の実施および国際学会の開催に影響を及ぼしている。所属学会内部での会員間の衝突等もあり、以前よりも、学会運営が難しくなってきている。我々が関心を寄せる問題について、ウクライナ近郊の諸国が関わっているとされているが(渡航移植についてはベラルーシ、代理懐胎についてはウクライナの例が、国内でも報道されているところである)、そうした国々からの情報が得にくくなっている。また、上述した11月の国際学会においても、開催地がなかなか決まらない中で、我々が開催校として手を挙げることになった。 診療拒否の具体的問題、特に渡航移植の問題に関しては(既に報道のあった通り)、刑事事件に発展したものが出てきたこともあり、調査の継続が難しくなってきている。こうした事情から、令和4年度にあっては、研究会において予定していた内容(報告等)を準備できないことがあった。 また、研究代表者である宍戸の移籍があったため、2月ないし3月に予定していた国内研究会を開催することはかなわなかった。今年度(令和5年度)は、年2回の研究会開催のペースが維持できるように努める。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 調査について:令和5年度は、国内調査に加えて国外調査も開始する予定であった。当初の計画では、中国・ベトナムでの調査を予定していたところであるが、円滑に進めることができるか、国際状況を十分に注視する。また、渡航移植に絡む診療拒否の問題については、当事者からの情報収集は困難となっている。輸血拒否など他の事案についての情報収集の比率を高めることを検討する。 2.成果報告について:当初の計画では、ロシアでの研究報告を視野に入れていた。しかしながら、前述のとおりウクライナ情勢の影響を受けている。実現可能性はかなり低くなってしまったと言える。こちらも計画の練り直しが必要である。一方で、文献調査等は引き続き継続し、成果報告として年2回の研究会開催を実現できるように準備を進める(既に今夏の研究会については、日程も確定させている)。なお、研究分担者の張による論考が、年度内の出版を目指して準備中である。
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Causes of Carryover |
令和4年度に開催した国際学会において、執行予定であった予算が使われなかった事態が生じたた(出席予定者の欠席等)。 令和5年度は、年2回の研究会に加え、国内外での調査を予定している。助成金は、これらの活動に有効に活用する。
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Research Products
(2 results)