2022 Fiscal Year Research-status Report
美しい場所は健康をもたらすか?環境美の包括的理解と脳領域の解明
Project/Area Number |
22K10578
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
谷 友香子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (70735422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菖蒲川 由郷 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (30621198)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 美しさ / 近隣環境 / 脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
人々は古来より美しい風景を好み、その美しさに癒されてきた。しかしながら、その理由に科学的エビデンスを与える研究は乏しい。住む場所の環境が健康の重要な決定要因であることがわかってきているが、近隣環境の「美しさ」がどのように認識され健康に影響を及ぼすかを検討したものは限られている。そこで本研究では、環境美の神経基盤を明らかにすることで、主観的な美の感覚を客観的に測定可能な表現型と結びつけることを試みる。2023年度は、美しい環境に住んでいることが脳に与える影響を明らかにするために、新潟県の地域在住高齢者を対象とした縦断調査(Neuron to Environmental Impact across Generations (NEIGE))の枠組みを使い、質問票による近隣環境の主観的評価及びMRIを用いた脳画像検査の結果を用いて解析を進めた。その結果、参加者のうち、42%が近隣を非常に美しいと評価し、17%が全く美しくないと評価した。主観的な近隣の美しさは、脳の両側内側眼窩前頭皮質と島皮質の体積と関連した(いずれもp for trend <0.01)。また、これらの脳部位が主観的な美に特異的であることを確認するため、客観的に測定した環境指標、特に自然の指標として用いられる緑や青地との関連を解析した結果、先ほどの脳部位はこれらの近隣の指標とは関連しなかった。主観的な近隣の美しさは、報酬や意思決定に関連する脳領域と関連しており、これらの脳領域が近隣の美しさの認知を支えていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、近隣環境の美の評価と各脳部位との関連を調べ、国際誌に論文を発表することまで達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き調査データの整備及び文献レビューを行うとともに、近隣の美しさと健康との関連について解析し、論文化を進める。
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Causes of Carryover |
論文の英文校正費に使用予定だったが、無料の校正ソフトを用いることで代用できたため。
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Research Products
(3 results)