2023 Fiscal Year Research-status Report
美しい場所は健康をもたらすか?環境美の包括的理解と脳領域の解明
Project/Area Number |
22K10578
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
谷 友香子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (70735422)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菖蒲川 由郷 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (30621198)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 近隣環境 / 美しさ / 閉じこもり |
Outline of Annual Research Achievements |
人々は古来より美しい風景を好み、その美しさに癒されてきた。しかしながら、その理由に科学的エビデンスを与える研究は乏しい。住む場所の環境が健康の重要な決定要因であることがわかってきているが、近隣環境の「美しさ」がどのように認識され健康に影響を及ぼすかを検討したものは限られている。そこで本研究では、環境美の神経基盤を明らかにすることで、主観的な美の感覚を客観的に測定可能な表現型と結びつけることを試みる。さらに、「美しい」と感じる場所に住むことと健康との関連を明らかにすることを目指す。昨年度は、美しい環境に住んでいることが脳に与える影響について高齢者の脳画像データを用いて検討し、国際誌に論文を発表した。2024年度は、「美しい」場所に住んでいることが健康関連行動や健康に及ぼす影響を明らかにするためのデータ整備及び解析を進めた。高齢者を対象とした大規模疫学調査にて近隣の美しさについて評価し、近隣環境の美しさが個人の健康に及ぼす影響を評価した。まずは、近隣の美しさに関する個人レベルの回答を用いて健康関連行動として閉じこもりとの関連を検討した。その結果、美しい景観が少ない群に比べ、多い群では閉じこもりのリスクが2割以上低かった。美しい景観と閉じこもりの関連は、これまでに健康に良いことが報告されている近隣の運動に適した公園や生鮮食料品点と同程度のリスク減であった。また、メンタルヘルスも良い傾向が認められた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、美しい環境に住んでいることが脳に与える影響について国際誌に論文を発表しており、さらに近隣環境の美しさと健康との関連について検討できるデータセットを準備し、解析に着手している。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き調査データの整備を行うとともに、近隣の美しさと健康関連行動及び健康との関連について解析し、論文化を進める。
|
Causes of Carryover |
論文の英文校正費に使用予定だったが、無料の校正ソフトを用いることで代用できたため。
|
Research Products
(4 results)