2022 Fiscal Year Research-status Report
熟練看護師の実践知と人工知能を融合した「便秘ケア・アルゴリズム」の創生
Project/Area Number |
22K10637
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
明野 伸次 北海道医療大学, 看護福祉学部, 准教授 (40364260)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横川 亜希子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教 (30708772)
山口 夕貴 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教 (50911088)
米川 弘樹 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教 (60825412)
新見 千穂 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教 (40825436)
沖野 久美子 北海道医療大学, 医療技術学部, 助教 (10846223)
樋之津 淳子 札幌市立大学, 看護学部, 教授 (90230656)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 看護技術 / 便秘 / 人工知能 / 超音波検査 / 実践知 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,熟練看護師による便秘ケアに至るプロセスに,人工知能による直腸エコー画像の解析に基づく便性状の判断を取り入れた「便秘ケア・アルゴリズム」を開発することである。 令和4年度は、直腸のエコー画像で便の有無、硬さ、量を予測できるかを検討した。エコーはタブレットとプローブから構成されるポケット型を使用した(シグマックス社 ポケットエコーミルコ)。撮影方法は、直腸の長軸像(縦の断面図)と短軸像(横の断面図)とし、画像をタブレットに記録した。撮影は主に研究協力者である超音波検査士が実施した。 研究の了承が得られた施設で、排便ケアを受ける対象者の直腸のエコー画像を撮影した。データ収集日に排便があり、画像評価が可能であった16名のエコー画像で検討した。 結果、後方音響陰影が認められ便が有ると評価されたのは12名であった。便が無いと評価された4名の便の硬さと量は、BS1で少量、BS6で少量、BS4で中等量、BS5で中等量であった。境界エコーの輝度で便の硬さを検討するため、ROC曲線による解析を行った結果、便の硬さを予測する最適なROC曲線のカットオフ値はBS4であり、ROC曲線下面積は0.709であった。また、BS1~4で境界エコーの輝度を予測する感度は81.8%、特異度は60%であった。境界エコーの長さで便の量を検討するため、ROC曲線による解析を行った結果、便の量を予測する最適なROC曲線のカットオフ値は手掌大(多量)であり、ROC曲線下面積は0.774であった。また、手掌大(多量)で境界エコーの長さを予測する感度は71.4%、特異度は83.3%であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は、直腸のエコー画像で便の有無、硬さ、量を予測できるかを検討した。 本研究は、臨床現場での実装を目指すことから、安価で持ち運びが容易なポケットエコーを採用した。結果、便の有無に関しては、便が少量の場合や軟らかい場合に課題があったが、概ね良好な精度で判断できる展望を示すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、熟練看護師による便秘のアセスメントから便秘ケアに至るプロセスの可視化をすすめる。ますは、データベースを用い,便秘アセスメントおよび便秘ケアに関する国内外の文献レビューと,看護系・医学系の書籍をもとに,便秘の要因(身体的要因,生活的要因,環境要因など)と便秘評価の視点,便秘ケアを抽出する.そして、便秘ケアを実施している看護師への面接調査による質的帰納的分析と、質問紙調査による量的分析を実施する。
|
Causes of Carryover |
令和4年度は、直腸のエコー画像で便の有無、硬さ、量を予測できるかを検討した。その際、感染症対策により対象者を限定したため謝金の支出がおさえられた。また、学会参加等の旅費の支出もなかった。 令和5年度は、面接調査および質問紙による調査、エコー機器の購入、学会発表の旅費等に支出する予定である。
|