2022 Fiscal Year Research-status Report
難病ケアにおける組織能力と役割遂行能力を強化するための教育プログラムの開発
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22K10745
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Research Institution | Suzuka University of Medical Science |
Principal Investigator |
中井 三智子 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 教授 (60726503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野正 佳余 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター(臨床研究支援センター), 脳神経内科, その他 (50817731)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 難病ケア / コーディネーター / 職務実践 / 連携推進 |
Outline of Annual Research Achievements |
難病患者支援において、複雑な制度のもと、多専門職種の連携を推進し、ケアの継続性 を図る看護専門職者のコーディネートの役割は重要である。都道府県ごとに難病医療に携わるコーディネーター(以下 コーディネーターとする)が配置され、難病患者の進行に伴うケアニーズの変化や療養環境の課題をとらえ、地域の医療・福祉などの支援資源につなげ、地域ごとの療養体制づくりを行うなど、難病ケアにおけるコーディネートを担ってきた。2018年の難病医療提供体制整備事業(改正)後に配属され実践経験が少ない人の増加などから、コーディネーターとしての実践能力向上に向けた学習の機会を希求する声があがっているが、教育プログラムはいまだ確立されていない。本研究は難病医療に携わるコーディネーターとして熟練した人の実践活動に内在する知見を言語化し、難病ケアのコーディネートの実践能力向上に向けた教育プログラムを作成することを目的とする。 初年度は、2022年5月から8月に難病医療に携わるコーディネーターの職務実践の構造を明らかにすることを目的に、実践経験を有する者を対象に半構造化面接を行った。コーディネーターの職務実践として『地域で療養生活を継続できる支援体制を作る』、『地域の難病支援の課題を難病医療ネットワークで共有し、解決する仕組みを作る』、『難病患者の主体的な意思決定を支える』、『多職種間の連携・協働を促進する』、『コーディネーターとしての目的と役割を認識して行動する』、『実践の質向上のため自己研鑽や専門職種間の話し合いの機会を持つ』の6つのカテゴリーを生成した。また個々の難病患者と専門職種への支援によりケアの継続性を目指す実践、多専門職種の連携・協働を推進するための実践、制度や医療提供体制の課題を抽出し解決システムの創設につなげる包括的な実践の3つのレベルがあり、それぞれの間で相互作用と循環の構造があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
難病ケアに携わるコーディネーターの実践活動について、4名からのデータ収集にとどまっている。特に、2018年に改正された難病特別対策推進事業実施要綱に含まれる「難病の早期診断に向けた支援」に関連した実践活動は明確にできなかった。地域ごとに多様な活動を行っているコーディネーターの職務実践を十分に把握できているとは言えない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は対象者を拡大して、さらなるデータ収集と分析を進め、新たな難病特別対策推進事業におけるコーディネーターの職務実践活動について明らかにする必要がある。多様な地域背景と職務実践能力について分析を進め、実践能力の向上に向けた具体的な教育プログラム構築を進める必要がある。
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Causes of Carryover |
調査対象の拡大とデータ収集・分析を進める。 難病医療に携わるコーディネーターや看護職者が、対象者の理解や多職種との連携において必要とされる実践能力向上を目的とする教育内容と方法の検討を行う。
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