2022 Fiscal Year Research-status Report
Creation of Japanese Moral Injury Scale and verification of reliability and validity
Project/Area Number |
22K10850
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Research Institution | Seisa University |
Principal Investigator |
松枝 美智子 星槎大学, 大学院教育学研究科, 教授 (50279238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安保 寛明 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (00347189)
児玉 有子 兵庫大学, 大学院看護学研究科, 教授 (70336121)
増満 誠 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (10381188)
高野 歩 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 准教授 (00771883)
中本 亮 令和健康科学大学, 看護学部, 講師 (20782973)
池田 智 福岡大学, 医学部, 助教 (90759268)
光永 憲香 東北福祉大学, 健康科学部, 准教授 (30431597)
脇崎 裕子 純真学園大学, 看護学科, 講師 (90389487)
安藤 愛 福岡県立大学, 看護学部, 助教 (50809126)
高橋 葉子 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 客員研究員 (20625016)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 日本版Moral Injury尺度 / 尺度開発 / 信頼性・妥当性の検証 / 看護師 / 道徳的傷つき / 道徳的苦痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度の研究目的は、2023年度に行う日本の看護師に特有のMoral Injury(以下、MI)の探索のための質的記述的研究のインタビューガイドを作成することであった。 研究デザインは文献研究と質的統合法を組み合わせたトライアンギュレーションである。APA (2020)の定義に則り、MIを「COVID-19パンデミック大規模災害の影響で、感染防御体制の構築や人的・物的医療資源の相対的な不足がある状況下で、自分が道徳に反する行為を行った、もしくは他人や所属組織、政府が道徳に反する行為を行ったと認識した後に、自己への信頼、他者や所属組織への信頼、政府への信頼が揺らぎ、罪責感、不信感、怒りなどの感情にとらわれてそこから脱却できなくなり、最終的には不適応や自傷・自殺等の状態に陥ること」と定義した。 Pub-Medにて"MI" and "Nurses"and"COVID-19"のキーワードで検索し、定性的研究を32件抽出した。文献を熟読し、Garrard/安部訳(2007)の文献レビューマトリックス法で文献を整理し、結果を質的統合法で分析した。【道徳的苦痛の引き金】【道徳的苦痛】【道徳的回避】【道徳的苦痛の促進要因】【道徳的傷つき】【道徳的傷つきの転帰】【道徳的苦痛からのリカバリー】【道徳的苦痛からのリカバリーの促進要因】【支援ニーズ】【課題】が抽出された。【道徳的苦痛の引き金】【道徳的苦痛の促進要因】【道徳的苦痛からのリカバリーを促進する要因】には、個人・組織・国の政策レベルがあり、予め定義した内容と合致していた。 併せて、インタビューガイドが詳細に示されている10文献を参考に、研究者間のブレインストーミングによりインタビューガイドを作成した。倫理審査を申請し承諾された。MI尺度の開発者の許可を得て和訳と逆翻訳を実施し、現在逆翻訳について開発者に許容範囲を確認中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、2023年度に実施を予定していたMI尺度の翻訳と逆翻訳は完了し、現在、尺度の原作者に許容範囲かを確認中である。 2022年度に予定していた質的研究法で行われたCOVID-19大規模災害下の看護師のMoral Injuryに関する先行研究のレビューマトリックスを質的研究班のメンバーで分担して作成・完了した。 また、先行研究でインタビューガイドを詳細に示している論文が10篇あったため、それらを参考にして質的研究班でブレインストーミングを行い、インタビューガイドを作成した。この時点で、研究代表者の所属機関の研究倫理委員会に提出し、2023年5月21日に承認された。 質的統合法による先行研究の概念の統合が完了したため、日本看護科学学会学術集会への演題登録を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年5月21日に研究倫理審査の承認が得られたため、2023年度は「COVID-19パンデミック大規模災害下の日本の医療機関、訪問看護ステーションで働く看護師のMoral Injury」の研究テーマで質的研究を実施する。 質的研究の結果から、日本の看護師に特有のMoral Injuryを特定し、MI尺度に追加するために質問の形に調整し、日本版Moral Injury尺度(案)を作成する。作成した尺度(案)に対して、精神看護学の学識経験者と高度実践看護師からの意見を収集する。その意見を反映させて尺度を精錬し、2024年度のパイロットスタディに使用する。尺度の併存妥当性の検証のために使用する尺度を再度検討し、最終的に決定する。 調査票の作成ができたら、研究倫理審査委員会に申請し、承諾を得る。承諾が得られたら、パイロットスタディを行い、その結果を調査票及び作成した日本版MI尺度(案)に反映させ、最終版の日本版Moral Injury尺度を含む調査票を作成する。それができたら本調査を行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19パンデミックの影響で学術学会がオンライン又はハイブリッドで行われたため、旅費を使用する機会がなかった研究者が多かったため、旅費の執行額が予定よりも少なかった。物品費は、大学を移動することが決まっていた研究者が執行を控えたこともあり、予定額よりも低くなった。人件費に関しては、文献検索や収集は研究者自身が行った人が多かったため予定額より低くなった。 その他の費用については、文献研究、質的研究の計画書の作成、文献の質的統合にかかる海外文献のダウンロード費を執行したが、この研究テーマに関しては無料で公開されている論文が多かったことから、当初予定の執行額を下回った。尺度の翻訳と逆翻訳は2023年度の計画であったが前倒しで行ったため、その他の費用から執行した。 2023年度は質的研究で分析に必要なソフトの購入、協力者への謝金の支払いなどが必要である。又、COVID-19が5類になったことで学術学会が対面で開催される機会が多くなっているので、旅費の執行額が多くなる予定である。更にCOVID-19下での道徳的傷つきに関する文献は有料論文が徐々に増えていることや円安になっているため、海外文献のダウンロード費にかなり費用が掛かると考えている。また、質的研究の進捗によってはパイロットスタディを前倒しにすることも考えているため、そのための調査費等が必要になる可能性がある。
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