2023 Fiscal Year Research-status Report
LGBTQsの健康課題に関する看護教育プログラムの開発
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22K11034
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
吉田 安子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (40285010)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | LGBT / セクシュアルマイノリティ / 健康格差 / 看護ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、LGBTQsの健康課題に関して当事者が求めるケアを明らかにした上で、LGBTQsの健康課題に関する看護教育プログラムを作成することである。看護教育の充実により、当事者が尊厳と敬意を持ってケアされる医療環境の提供への一助となることを目指している。 関連文献を網羅的に調査し、看護教育プログラムの前提として以下を盛り込むことを検討した。①健康格差。LGBTQsの人々は非LGBTQsに比べて、医療機関へのアクセスが限られている場合があり、メンタルヘルス、HIV/AIDS、がんなどの健康課題のリスクが高い。②メンタルヘルス。抑うつ、不安、自殺念慮といった問題を経験するリスクが高く、この背景には、差別、スティグマ、社会的サポート不足が原因である可能性。③トランスジェンダーとノンバイナリーの健康。特有の医療ニーズやホルモン療法の影響、手術後のケアが必要。④高齢LGBTQsの健康。孤立感やケアサービスや、適切な医療を受けることの困難さに直面する可能性。⑤医療提供者の教育不足。LGBTQsに特有の健康課題に関する教育不足が指摘されており、これが適切なケアの障壁となる可能性がある。 プログラム内容を考える際、当然LGBTQsに関する社会の動向も注視する必要があり、これに関する情報収集を実施。2023年は特に以下の2点が注目された。①LGBT理解増進法が可決されたが、法案で「差別は許されない」としていた部分が「不当な差別はあってはならない」と変更され、差別する側に配慮しているといった問題点が指摘されている。②「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」をめぐる裁判においても進展があった。最高裁は特例法の不妊化要件が憲法に違反して無効であると判断を示した。この判決は従来から問題が指摘されていた特例法の見直しを求めるものであり、日本における性の自己決定権の進展がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究においては次の3つのリサーチクエスチョンに対して文献検討を行う計画を立てていた。現在リサーチクエスチョン1:LGBTQsの健康課題に関する看護者の知識、態度の実態の明確化、リサーチクエスチョン2:教育プログラムコンテンツを昨年に引き続き行いつつ、LGBTQsに関する社会情勢の変容に関しても調査した。教育プログラム内容について、精査するとともに、評価方法について検討を続け、アンケート調査を本年度は実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度においては前年度の研究成果を踏まえ、引き続き計画に従って研究を遂行していく。昨年度は健康アクセスの障壁や医療ケアニーズについて当事者を対象としたアンケート調査予定であったが、現在アンケート内容を検討している段階である。よって本年度はアンケート実施と分析に取り組んでいく予定である。
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Causes of Carryover |
令和5年度は、アンケートを作成してオンライン調査の実施を予定していた。しかし、現在アンケート作成途中であり、実施にまでは至っていないので、その金額を次の年に繰り越しとすることとした。
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Remarks |
2023年10月28日(土)神奈川県立保健福祉大学ヒューマンサービス公開講座 演題「知っておこう 生命(いのち)の安全教育」
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