2023 Fiscal Year Research-status Report
AYA世代がん患者との“真の対話”と家族システムズアプローチ
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22K11069
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Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
柳原 清子 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (70269455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 佑季 長野県看護大学, 看護学部, 助手 (40747680)
熊谷 理恵 長野県看護大学, 看護学部, 講師 (80405125)
近藤 恵子 長野県看護大学, 看護学部, 講師 (80773259)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | AYAがん患者の体験世界 / AYAがん患者と家族の関係性 / 看護師スキル / 終末期の話し合いの葛藤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の核心の「問い」の1つは、《AYA世代がん患者(以下AYA患者)が主体性をもって闘病していけるための家族内支援システムをどう構築するか》である。 このテーマは初年次に引き続き、「AYA患者の発病および闘病で、家族システム(構造と関係性)はどう変化しているのか」を調査した。第一研究として、 “遺伝と家族関係”を問題意識として、AYA患者およびその家族にインタビュー調査を行った。この家族とは、①配偶者と②血縁関係のある人に対して行った。遺伝性のAYA患者のがんの発症は、家族内全体に深刻な亀裂=語り合えない事態が発生することが明らかとなった。①の配偶者の調査からは、AYA世代家族は「家族形成期」ゆえの関係の脆弱さが見て取れた。一方②の血縁者については、原家族(定位家族)のみならず親族も巻き込む亀裂であった。これらの結果は、2024年9月のIPOS(国際精神腫瘍学会)で発表予定となっている。 第二研究としては、AYA患者への看護師の看護実践内容の聞き取り調査を通して、AYA患者とりわけ女性(母親)の発病が、家族にもたらす影響を、子ども・育児の視点から分析し、看護師が行っている具体的な支援をまとめた。これらの調査結果は、がん看護専門誌へ投稿した。 本研究の2つ目の核心の「問い」は、医療者は≪死の想定下に生きる患者との“真の対話”をどう作り出していけるのか≫である。このテーマは主催している「がん看護研究会」で連続的に事例検討を重ねている。共同研究として、①EOLD(終末期の話し合い)における患者・家族と医療者間のコンフリクトの様相をまとめ、②病状の厳しい状況下でのSDM(共同意思決定)についての概念分析を行い、また③看護師を対象とした“関わり”の調査から、“真の対話”を生み出すスキルをまとめ、論文化に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の核心の問い2つを設定し、「患者、家族へのインタビュー調査」、「看護師への実践スキル調査」、「臨床現場でのACPやEOLDなどの話し合いの様相」そして、関連する「概念分析」を行った。 研究全体からは計画通り行えているので、概ね順調と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
調査結果の論文化をはかり学会に投稿していく。また、国内外の学術集会で発表していく。
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Causes of Carryover |
研究の最終年度になるため、国内外の学会等発表を予定しており、そのための予算とする
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