2022 Fiscal Year Research-status Report
精神科急性期で非自発的入院を防ぐ当事者の主体性を支える支援の構造と関連要因の解明
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22K11199
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梶原 友美 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (90706920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武用 百子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00290487)
大達 亮 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10760796)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 精神科救急急性期 / 非自発的入院・治療 / 主体性 / 実態調査 / 評価指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、非自発的入院/治療を避けたり、意に反した治療であっても、当事者の主体性を脅かさないために、①医療者が実施している「主体性」を支える実践の実態と影響要因を全国調査で明らかにすること②「主体性」を支える支援を可能にするための指標を示すことを目的としている。 今年度は、「主体性」を支える実践の構成概念を明らかにするために、精神疾患患者の「主体性」の概念分析を改めて行った。先の研究(若手研究.TK17501)では、統合失調症や双極性障害といった特に自我機能が脅かされ得る精神病者に限定して分析を行っていた。しかし、本研究の目的である精神症状の急性期の支援実態を明らかにするためには、精神病者に限定せず、広く精神疾患患者の主体性を支える実践について調査することが望ましいと考えた。したがって、文献を追加し、再度概念分析を実施した。現在論文投稿準備中である。 一方で、先の研究(若手研究.TK17501)において実施したインタビューの分析と先行研究の検討より、主体性を支える実践の項目案を抽出した。 今後は、精神疾患患者の主体性の概念分析結果を基に、主体性を支える支援の構成概念を明確化する。その上で、インタビュー調査や先行研究の検討により抽出された項目案を演繹的に分類し、質問紙(案)を完成させる。質問紙(案)は、精神科救急急性期場面において、実践経験豊富な医療者による内容的妥当性の検討とプレテストを踏まえ、再考し、全国調査を行う予定である。 また、本研究は、人を対象とした臨床研究にあたるため、研究計画について、事前に倫理審査を受け、倫理的に十分な配慮を行った上で実施する必要がある。現在、倫理申請書類の作成途中である。今後、質問紙(案)が完成し、対象に対する質問内容がおおよそ決定した段階で、申請者の所属機関における倫理員会へ提出する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の質問紙の中核をなす、「主体性」の概念分析について再考したため、質問紙作成がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、質問紙の中核をなす「主体性」の概念分析に関して、分析は終了している。また、先の研究(若手研究.TK17501)において行った精神症状の急性期に行われている「主体性を支える実践」についての分析はおおむね完了している。したがって、概念分析について、早急に論文投稿を行い、その結果をもとに、「主体性を支える実践」の構成要素に基づいた質問紙を完成させる。その後、倫理審査委員会への提出と、協力施設への配布を行うことで、本年度中に予定していた質問紙の配布・回収を行うことが可能になると考える。
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Causes of Carryover |
今年度は、質問紙(案)を作成し、倫理審査委員会への申請の上、質問紙(案)の表面的妥当性の検証とプレテストまで実施する予定であった。しかし、質問紙の中核をなす「主体性」の概念分析に関して再考したため、質問紙(案)が完成しなかった。したがって、当初予定していた、質問紙(案)の検証のための対象者への依頼や謝金、倫理審査委員会への申請費用の支出がなかった。 「主体性」の概念分析に関して、早急に論文投稿を行い、主体性を支える支援の構成概念を明確化することで、質問紙(案)が出来上がる。当初の計画を少し遅らせるが、予定通り予算を使用することが出来ると考える。
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