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2023 Fiscal Year Research-status Report

老化細胞誘発クラスター性変異のNGS解析による放射線発がん機構研究

Research Project

Project/Area Number 22K12375
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

河合 秀彦  広島大学, 医系科学研究科(薬), 准教授 (30379846)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 紙谷 浩之  広島大学, 医系科学研究科(薬), 教授 (10204629)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords放射線被曝 / がん / 幹細胞 / 細胞老化
Outline of Annual Research Achievements

研究計画の初年度には、さまざまな実験条件でヒト細胞でDNAに生じる変異の誘発頻度と変異スペクトルをハイスループットに高感度解析することが可能な実験方法として、分子barcodeを挿入したシャトルベクター(SV)libraryとNGSを利用した「SV-NGS法」を開発した。SV-NGS法を用いて、Cs-137ガンマ線の持続照射環境で誘発される変異解析を行ったところ、10の-5乗bp/Gy/dayのオーダーで照射線量率依存的な変異を検出することができた。変異スペクトル解析の結果、持続照射環境では未照射バックグラウンドで誘発される変異と同一の変異スペクトルで変異が増加することが明らかとなった。また、ガンマ線照射による変異は、急照射と持続照射で同一線量を照射した場合、急照射では欠失変異がより検出される傾向があったものの、持続照射では誘発される変異がより増加した。この結果は、ガンマ線照射によって誘発される変異は、ガンマ線が生成するDNA損傷が直接誘発する変異だけでなく、間接的に変異を誘発する機構が存在し、その寄与度は線量率依存的に異なる可能性を示唆するものと考えた。そこで、持続照射によって誘発される変異を検出することをを目的として、酸化損傷塩基を人工的に導入したSV libraryを用いて、持続照射実験を行った。その結果、導入損傷塩基に依存して特徴的な変異スペクトルが鎖バイアスを持って増加することが明らかとなった。また、これまでの実験で用いているSV libraryでは解析配列の偏りが存在し、変異シグネチャー解析する上で問題となることから、変異解析用のSV libraryの改良を行った。新たに開発したSV libraryを用いて、紫外線照射による検証実験を行ったところ、SV-NGS法と同様の結果が得られ、より検出バイアスの少ない新たな変異解析方法が確立できたものと考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

前年度に確立したSV-NGS法を用いることで、ガンマ線によるDNA損傷が非常に低頻度で生じる持続照射環境においても、ヒト培養細胞での変異検出が可能であることが明らかとなった。また、急照射と持続照射において、持続照射でより多くの変異が検出されたことから、逆線量率効果的に、放射線が変異を誘発する新しい分子機構が存在することが示唆される。更に、損傷を持つSVを用いた検証実験を行った。この実験結果は、プレプリントサーバーに掲載済(DOI: 10.1101/2024.02.29.581290)である。計画はおおむね順調に進展しているものと考えている。

Strategy for Future Research Activity

研究計画の次年度には、SV-NGS法を用いて持続照射によって誘発される変異とその特徴を明らかとした。ただし、SV-NGS方法では、検出できる変異に偏りがあることで正確な変異シグネチャー解析を行うことができなかったことから、SV-NGS法を改良し、配列による変異検出の偏り少ない変異解析法を開発した。新たな変異解析法を用いて、最終的に老化細胞によって誘発されるクラスター変異とその誘発分子機構を明らかとする。

Causes of Carryover

前年度に続き、試薬の購入金額が予算を若干下回った。実験計画の遂行には影響がなく、次年度の実験計画に必要な試薬の購入に利用する。

  • Research Products

    (8 results)

All 2024 2023

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (7 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] Correction of substitution, deletion, and insertion mutations by 5'-tailed duplexes2024

    • Author(s)
      Kawai H, Sato K, Kato T, Kamiya H.
    • Journal Title

      J Biosci Bioeng

      Volume: 137(3) Pages: 157-164

    • DOI

      10.1016/j.jbiosc.2023.12.011

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 遺伝子変異研究における新しい基盤技術の開発2024

    • Author(s)
      河合 秀彦
    • Organizer
      第149回日本薬学会中国四国支部例会
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 人工ヌクレアーゼを用いない遺伝子編集:様々な遺伝子配列の編集効率2023

    • Author(s)
      紙谷 浩之、加藤 太樹、河合 秀彦
    • Organizer
      日本分析化学会第72回年会
  • [Presentation] supF-NGS 法を用いたガンマ線照射の変異シグネチャー解析2023

    • Author(s)
      岩田 廉、河合 秀彦、紙谷 浩之
    • Organizer
      日本環境変異原ゲノム学会第52回大会
  • [Presentation] 酸化損傷塩基の修復に関わる DNA グリコシラーゼの遠隔作用変異における役割2023

    • Author(s)
      藤川 芳宏、鈴木 哲矢、河合 秀彦、紙谷 浩之
    • Organizer
      日本環境変異原ゲノム学会第52回大会
  • [Presentation] 5’-tailed duplexes による複数の置換・欠失・挿入変異の遺伝子編集2023

    • Author(s)
      天崎 光、河合 秀彦、佐藤 健斗、加藤 太樹、紙谷 浩之
    • Organizer
      日本環境変異原ゲノム学会第52回大会
  • [Presentation] 酸化グアニンが誘発する遠隔作用変異におけるDNAグリコシラーゼNEIL1の役割2023

    • Author(s)
      藤川 芳宏、鈴木 哲矢、河合 秀彦、紙谷 浩之
    • Organizer
      日本放射線影響学会第66回大会
  • [Presentation] 人工ヌクレアーゼを用いない遺伝編集ツール5’-tailed duplexの遺伝子編集能の配列依存性2023

    • Author(s)
      加藤 太樹、河合 秀彦、紙谷 浩之
    • Organizer
      第46回日本分子生物学会年会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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