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2023 Fiscal Year Research-status Report

On study actual Conditions of Criteria and Processes in Private Forest Management of Forest Asset Valuation and Possibility of Integration

Research Project

Project/Area Number 22K12493
Research InstitutionForest Research and Management Organization

Principal Investigator

大塚 生美  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究専門員 (00470112)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 丸山 佳久  中央大学, 経済学部, 教授 (10342312)
堀 靖人  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究専門員 (80353845)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords森林投資 / 森林評価 / 競売評価人 / 競売評価基準 / 不動産鑑定士 / SEEA2012-CF / 社会資本 / 日独米
Outline of Annual Research Achievements

昨年度は,森林投資が活発な米国に比べて,日本における森林資産評価に関わるインフラが未整備に近い状況であったことを明らかにした。森林資産評価のインフラの遅れは,とりわけ,組織,制度,資源情報に象徴された。本年度は,制度上の遅れとして指摘した林地売買時の公平性や安全性を担保する米国の第三者評価人に相応する日本の競売評価人制度に視点をあて,民事執行法で規定されている競売評価人による森林資産(地目「林地」)評価の実態を明らかにした。同時に,森林資産評価を要する場面と主な評価者を抽出し,主な評価者への聞き取り調査を実施した結果,評価目的は異なるものの競売評価人による森林資産評価方法や課題と差異が無いことが浮き彫りになった。森林資産評価を要する場面は,主に,相続時(相続税,家族信託締結等),分収契約時・精算時,土地・立木取引時(売買、競売,収用,賃借等),森林保険算定時(加入,災害時),森林クレジット(カーボン,生物多様性等)等々になる。それらの評価者は,森林所有者,森林経営者,会計士,税理士,弁護士,不動産鑑定士(競売評価人含む),森林評価士等になる。いずれの評価者も現物資産の評価にとどまり,米国の第三者評価人にみる森林経営による将来価値は含まれないことが明らかになった。米国に関しては,林地売買成立までの第三者評価人の選定方法や売買価格の合意にいたる標準システムならびに森林資産評価の困難性に関わる事項に関する調査を進めた。ドイツに関しては,昨年度までに得た情報をもとに,次年度実施予定のドイツにおける中小規模私有林の売買に関する調査項目を整理した。また,今日,森林資産の価値として世界的に注目され,SEEA2012-CF(環境・経済統合勘定体系)でも重要な指標となってきている森林クレジットについて,その問題点として、二酸化炭素の吸収量のみが考慮されるにとどまっている実態を指摘した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の研究計画では想定していなかった森林資産評価のインフラの遅れとして指摘した米国における第三者評価人に相応する日本の競売評価人制度を明らかにする過程で,地目に「山林」を含む競売物件の評価指針ならびに評価額の算定基準について分析を進めることができた。その結果,森林資産評価の日独米の比較研究項目をより詳細にできたことで,「概ね順調に進展している」とした。研究代表者による競売評価に関する既往研究やデータの収集・分析,および競売評価人を選任する地方裁判所や事実上競売評価人資格となっている不動産鑑定士への訪問調査結果等を統合した分析結果について,研究メンバーによる研究会を踏まえて,2024年3月に開催された学会において口頭発表を行った。これまでの成果は,2024年5月を目途として2つの論文が投稿段階にある。

Strategy for Future Research Activity

これまでに得られた日独米の森林資産評価に関する特徴から,米国では,主に森林投資の中核である企業有林を主たる対象として,立木と林地それぞれの評価額の算定システムを明らかにする。ドイツでは、主に,中小規模私有林の林地売買に関する追跡調査によって,ドイツの森林資産の評価システムを明らかにする。日本では、地目「山林」の競売評価人を対象に森林資産評価における重要事項と課題について分析を深める。同時に,SEEA2012-CF視点から,これまで明らかにした木材総合供給モデル地を対象とした水平的サプライチェーンの改善による森林資産への還元可能性に照らし,新たに選定した垂直的サプライチェーンのモデル地との森林資産への還元に関する比較分析を行う。あわせて,日本でも本格化の兆しがある森林クレジットによる取引実態から,森林資産評価への影響を明らかにする。以上を通じて、日独米の森林資産評価に関する類似性を考察し,森林資産評価において重要となるファクターと課題を提示する。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由は,今年度,現地研究協力者をはじめとして新たに入手できた森林資産評価に関する情報,資料を分析する過程で,比較検討の必要から国内調査を優先することとなり,渡航を延期したことによる。次年度の使用計画は,①国内外の調査旅費,②現地研究協力者の旅費・謝金,③アンケート調査費用,④海外シンクタンクのデジタルデータ購入・関連図書購入,⑤入手資料の翻訳,⑤研究メンバーによる合同調査・研究会旅費,⑥研究会招へい講師旅費・謝金,⑦学会・関連研究会参加・論文別刷り代,等になる。

  • Research Products

    (9 results)

All 2024 2023

All Journal Article (4 results) (of which Open Access: 1 results) Presentation (5 results) (of which Invited: 3 results)

  • [Journal Article] 所有森林を見直してみませんか?2024

    • Author(s)
      大塚生美
    • Journal Title

      岩手の林業

      Volume: 795 Pages: 6-7

    • Open Access
  • [Journal Article] 脱炭素社会における森林への注目と森林経営の脆弱性2023

    • Author(s)
      大塚生美
    • Journal Title

      環境経営学会メールマガジン

      Volume: 81 Pages: 2

  • [Journal Article] 日米における素材生産業者の環境配慮への取り組み-日本のCRL認証とオレゴン州のOPLプログラムより-2023

    • Author(s)
      大塚生美
    • Journal Title

      山林

      Volume: 1670 Pages: 52-60

  • [Journal Article] 盛岡木材流通センターにおける広葉樹材の価格変動の分析2023

    • Author(s)
      道中 哲也、大塚 生美、小谷 英司
    • Journal Title

      日本森林学会大会発表データベース

      Volume: 133 Pages: 226~

    • DOI

      10.11519/jfsc.133.0_226

  • [Presentation] 山林評価人に関する研究2024

    • Author(s)
      大塚生美、堀靖人、丸山佳久
    • Organizer
      日本森林学会
  • [Presentation] 生物多様性保全と森林管理のための制度的取り組み2024

    • Author(s)
      堀靖人、大塚生美、高橋卓也
    • Organizer
      日本森林学会
  • [Presentation] 日本における森林投資を巡って2024

    • Author(s)
      大塚生美
    • Organizer
      日本林業経営者協会金融部会勉強会
    • Invited
  • [Presentation] 森林投資2023

    • Author(s)
      大塚生美
    • Organizer
      林業塾
    • Invited
  • [Presentation] 新たな段階の育林経営を考える2023

    • Author(s)
      大塚生美
    • Organizer
      宮城県林業経営者協会勉強会
    • Invited

URL: 

Published: 2024-12-25  

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