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2022 Fiscal Year Research-status Report

説文解字二徐現行本の初印出版後の改彫・加筆箇所の調査

Research Project

Project/Area Number 22K12719
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

鈴木 俊哉  広島大学, 情報メディア教育研究センター, 助教 (70311545)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 守岡 知彦  京都大学, 人文科学研究所, 助教 (40324701)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords説文解字 / 改刻・改彫 / 校訂
Outline of Annual Research Achievements

初年度は、主に陳昌治本の調査を進めた。当初想定していた陳昌治本の改刻プロセスは、小徐本における祁シュン藻本と同様に、まず初印本が印行された後、テキスト校訂が行われて校勘記(陳昌治本における「説文校字記」)が附され、その校訂結果に基づいた改刻が加えられるというプロセスであった。しかし、「校字記」の指摘箇所を確認すると、京都大学人文研所蔵本(「校字記」を含まない)で既に修正されている箇所があることから、校字記は陳昌治本の底本となった平津館本に対する校勘であって、陳昌治本の初印本に対するものではない可能性が疑われる。このことを考え、初年度は陳昌治本を優先して資料を収集し、大阪大学懐徳堂文庫所蔵本、名古屋大学所蔵本のデジタル撮影を行った。懐徳堂本に関しては所蔵機関によるインターネット公開が完了した(https://hdl.handle.net/11094/89230)。名古屋大学所蔵本の調査結果からすると、本文版面の改刻は、少なくとも小篆に関しては校勘記とは独立に行われていた可能性が疑われる。
懐徳堂所蔵本は、封面裏が切り取られていたため、書誌情報では初印本・重刊本の判定が困難であったが、撮影の結果、重刊本であることが確認できた。名大本には「校字記」が無いことが書誌情報から分かっており、京都大学人文研所蔵の初印本と同様であると予測されていたが、撮影の結果、京大人文研本とも、また、中華書局影印本や、さらにその後の早稲田大学所蔵本とも異なることが分かった。
この他、平津館本の校勘のひとつに黄カン手批本説文解字があるが、その行款はいわゆる宋刊小字本(1頁あたり10行)ではなく、汲古閣本などの大字本様式(1頁あたり7行)であり、一般に流通している翻刻本ではない。またさらに、周祖謨が平津館本に対して指摘した誤りの一部は既に修正されていることが分かった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新たに撮影した名古屋大学所蔵陳昌治本は、説文通檢が合冊されているものの、巻15上の直後に説文通檢が綴じられており、巻15下および校字記が無い。京大人文研所蔵本は巻14上下・巻15上下が1冊、つづいて通檢例・巻首(部首の画数索引)・巻01上~06下を1冊、通檢巻07上~総画索引を1冊とするが、名大本は巻14上下・巻15上の後に通檢例~通檢巻06下までを1冊に綴じている。京大人文研本に「説文校字記」が見えないことから、初印本の段階はこれが付されておらず、後に校訂と改彫が行われた姿が中華書局影印本や早稲田大学所蔵本と推測してきたが、名大本の状況から「校字記」が無い本を単なる落丁と考えることも検討すべきである。名大本には「鉄(金夷)城所蔵」の蔵書印があることから、村井鉄次郎(1866~?)の旧蔵と推測される。これ以前の所蔵者の有無に関しては手掛かりがないが、陳昌治本の出版が同治12(1873)年であるので、時代的に初印本の入手は可能である。しかし、村井は漢学者や文字学者ではないので、初印本の印行直後に購入したとは考え難い。この前後関係の精査を進める必要がある。

Strategy for Future Research Activity

初年度は陳昌治本の重刊本を1種撮影できたので、底本を重刊本に改めたとされる中華書局影印本との比較によって重刊本の改刻状況について調査を進める。
また、平行してテキスト校正作業のためにプレーンテキストを陳昌治本の形式にレイアウトするツールの試作を行う。
この他、台湾・中国が準備しているISO/IEC 10646提案用の説文小篆の文字図形が、藤花シャ本に基づくとされている小篆の少なくない数が陳昌治本に従うよう改められていることがわかり、デジタルテキスト作成の際に流用可能な符号位置を定めるため、字形差の取り扱いについて確認を行う。

Causes of Carryover

中国の学術資料(特に碩士論文、博士論文など)を得るためにCNKIのネットワーク送信サービスを利用していたが、碩士論文・博士論文の送信サービスが停止となった。この再開を待っていたが、中国の法改正によるものであり、早期の再開は見込めないため、今後は出版物による情報収集に切り替えることとする。

Remarks

IM (Journal of Image & Information Management, ISSN 2435-0354)は公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会の機関誌。

  • Research Products

    (5 results)

All 2023 2022 Other

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 2 results) Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 日本江戸期写本群《原本玉篇》卷19錯簡問題与傳抄関係2022

    • Author(s)
      鈴木俊哉
    • Journal Title

      「経典之解釈」第三届早期中国経典研究学術研討会論文集

      Volume: 1 Pages: 635-656

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] CHISE における HDIC 統合の試み2022

    • Author(s)
      守岡知彦
    • Journal Title

      情処研報

      Volume: 2022-CH-129, 12 Pages: 1-6

    • Open Access
  • [Journal Article] 低品質文字画像を用いた高精細画像における字形画像の自動再切り出しの試み2022

    • Author(s)
      守岡知彦
    • Journal Title

      東洋学へのコンピュータ利用 第35回研究セミナー

      Volume: 35 Pages: 1-10

    • Open Access
  • [Presentation] CHISE における HDIC サポートの現状と課題2023

    • Author(s)
      守岡知彦
    • Organizer
      漢字字体規範史データセット保存会第4回シンポジウム「古辞書データ共有と拡張」
  • [Remarks] "連載 文字情報サービス環境 CHISE 第3回" IM, 2023年1・2月号 (p.35-37)

    • URL

      https://www.jiima.or.jp/wp-content/uploads/pdf/2023_1_2.pdf

URL: 

Published: 2023-12-25  

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