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2023 Fiscal Year Research-status Report

説文解字二徐現行本の初印出版後の改彫・加筆箇所の調査

Research Project

Project/Area Number 22K12719
Research InstitutionHiroshima University

Principal Investigator

鈴木 俊哉  広島大学, 情報メディア教育研究センター, 助教 (70311545)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 守岡 知彦  国文学研究資料館, 研究部, 特任准教授 (40324701)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords説文解字 / 書誌学 / 木版印刷
Outline of Annual Research Achievements

第二年度は、初年度にデジタル化した陳昌治本の画像を精査してその改彫の調査を進めた。
京都大学人文科学研究所所蔵本(京大人文研本)、名古屋大学総合図書館所蔵本(名大本)、早稲田大学図書館所蔵本(早大本)と、中華書局影印本(1963年初版本、ただし初印本の入手が困難なため香港中華書局による1972年印刷)、中華書局重新製版本(2013年初版、2017年第11次印刷)に対して、田泉と胡永鵬の先行研究で調査された箇所(合計123箇所)をすべて確認した結果、京大人文研本は胡永鵬が早印本として報告した甲種本、早大本は後印本として報告した乙種本に相当することが確認できた。
すなわち、京大人文研本が附録の説文校字記を含まないのは、残欠本なのではなく、校正が未完了の状態であったため、校字記は附されていなかったと考えられる。また、胡永鵬の調査報告に2か所の転記ミスと思われるものが見つかり、それを除けば早大本の本編については乙種本の中で最も早くに刷られたと判断された北京大所蔵本と同等であることがわかった。ただし、胡永鵬は乙種本の成立時期を附録の説文通檢に光緒5年の末題があることをもとに推測したが、早大本や北京国家図書館所蔵本にはこの末題が無い。附録のみが改版される可能性も考えると北京大所蔵本の本編と早大本の前後関係はまだ確定できない。
また、名大本は残欠本であり、巻15も欠けているので、説文校字記が附されていて脱落したのか、附されていなかったのかは不明である。胡永鵬の調査個所を確認すると、大半の箇所では乙種本に符合するが、説文校字記が記す修正箇所が修正未完了となっている箇所、乙種本と異なる修正となっている箇所も見つかり、乙種本への校正作業中のものである可能性が疑われる。以上の成果をじんもんこんシンポジウム2023、また、第四届早期中國經典研究國際學術研討會にて発表した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度も社会情勢のため海外渡航調査は困難であったが、北京国家図書館による漢籍画像の公開の拡充によっていくつかの資料を遠隔で調査することができた。ただし、目録は十分に整備されておらず、善本書目などで公開されていた書誌情報とインターネット公開されている画像の紐づけが難しく、先行研究で参照されていた文献がどれなのかはっきりわからないという問題は残っている。
陳昌治本の校字記は平津館本の誤りを190箇所指摘するが、先行研究が指摘する「早印本では校字記が誤りと記す状況になっているが、後印本では校字記が正しいとする状況になっている」ものは40箇所程度であり、大半は早印本の段階で既に直されていたと考えられる。

Strategy for Future Research Activity

最終年度は祁シュン藻本の調査を進める。デジタルテキスト化に関しては、国立国会図書館のNDL古典籍OCRでのテストを進めているが、「令和4年度NDLOCR追加開発事業及び同事業成果に対する改善作業」にて1900年以前の印刷物の読み取り精度がversion 2以降低下していると報告されているように、version 1のほうが精度が良い結果を得ている。撮影画像を高詳細にしても認識精度の向上には限界があるため、四部備要などの活版印刷された資料での補助を試みたい。
関連して、宋版本の楷書字形とデジタルテキストでの正規化に関して、HDICでの宋本玉篇の事例を調べることができるよう、宮内庁書陵部所蔵宋刊本の斯道文庫公開画像をCHISEから参照するための対応データを作成し、CHISEの検索結果から当該ページの書影画像を参照できるよう追加した。
また、データ校正作業の際の異体字からの正規化候補を得るツールとして、文字情報基盤整備事業のMJ縮退マップのビューワを設計している。同様のツールとして、もともとはIPAが「UCS関連文字マップ」(のちに「関連文字グラフ」)として提供していたものがあったが、データベース機能を持つサーバが必要なシステムであったため、移管ができず廃止された。また文字関連性をユーザ側で改変可能とするため、サーバなしに静的なデータだけで動作するよう作成している。

Causes of Carryover

2023年度中に納品検収が間に合わない書籍があり、700円分の次年度使用額が生じた。2024年度内に書籍費用として使用する予定である。

Remarks

SYP_keio.tsvは既に守岡友彦氏のCHISEデータベースに組み込まれており、HDICデータを検索した結果から斯道文庫がIIIFプロトコルで公開している画像を閲覧することができる。

  • Research Products

    (8 results)

All 2023 Other

All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 3 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results) Remarks (2 results)

  • [Journal Article] 日本残存陳昌治本『説文解字』の改彫状態2023

    • Author(s)
      鈴木俊哉
    • Journal Title

      総合科学研究

      Volume: 4 Pages: 21-40

    • DOI

      10.15027/54957

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 陳昌治本『説文解字』中華書局影印本の加筆箇所2023

    • Author(s)
      鈴木俊哉
    • Journal Title

      じんもんこん2023論文集

      Volume: 2023 Pages: 305-312

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 説文小篆UCS標準化における字形修正とその背景の分析2023

    • Author(s)
      鈴木俊哉
    • Journal Title

      情処研報(2023-DC-129)

      Volume: 3 Pages: 1-6

    • Open Access
  • [Journal Article] JSON-LDを用いた古字書注文構造化の試み2023

    • Author(s)
      守岡友彦
    • Journal Title

      情処研報告(2023-CH-133)

      Volume: 6 Pages: 1-8

  • [Presentation] 日本殘存陳昌治本《説文解字》改刻之調査2023

    • Author(s)
      鈴木俊哉
    • Organizer
      第四届早期中国經典研究国際学術研討会
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 文字オントロジーにおけるマークアップに関する試論2023

    • Author(s)
      守岡友彦
    • Organizer
      東洋学へのコンピュータ利用 第36回研究セミナー
    • Invited
  • [Remarks] SYP_keio.tsv: HDIC宋本玉篇・斯道文庫書影画像頁対応表

    • URL

      https://raw.githubusercontent.com/mpsuzuki/pr-hdic/master/SYP_keio.tsv

  • [Remarks] MJ縮退マップビューワ(構築中)

    • URL

      https://gitlab.com/mpsuzuki/mj-shrink-map

URL: 

Published: 2024-12-25  

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