2023 Fiscal Year Research-status Report
「コロナ禍」の飲食店におけるレジリエンス形成:名古屋市に所在する店舗を事例に
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22K13553
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
王 昊凡 中部大学, 人文学部, 講師 (20806955)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 飲食店 / コロナ禍 / ソーシャル・キャピタル / フレキシビリティ / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では飲食産業論に立脚しつつ災害社会学からレジリエンス論を援用し、「コロナ禍」において飲食店が閉店の危機を回避し、持続的な発展が可能となるための要因を探る。飲食産業論をふまえ、出資者・仕入れ・料理人・消費者という4側面でのソーシャル・キャピタルと、料理人の技能に基づくフレキシビリティに着目する。その内実および前提条件(政策による規制や支援、立地や客席数など)、第三変数を含めた相互関係について議論を行う。名古屋市に所在する飲食店へのヒアリング調査をもとに、レジリエンス形成のモデル化を志す。 本年度は主に第三変数としてスマホアプリを用いたオーダーの流行やデリバリーシステムの普及の影響について調査を行った。スマホアプリを用いたオーダーの流行やデリバリーシステムの普及はチェーン店から個人店に至るまで、経済的な影響があることはすでに知られている。しかし、とくに個人店への文化的な影響があることが、ヒアリング調査のなかで浮かんでくる。 また、日本社会学会にてソーシャル・キャピタルの有効性について、研究発表を行った。報告ではヒアリング調査のデータに基づいて、どのようなソーシャル・キャピタルが店舗の事業継続につながるか検討を行った。その結果、(擬似的な)家父長制、パートタイム労働者がコアメンバーである場合、雇用流動性が高い場合が、ソーシャル・キャピタルの効果を阻害する要因となったことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍による制限もほぼなくなり、ヒアリング調査が順調に進みつつある。また、料理人の技能に基づくフレキシビリティに対する、スマホアプリを用いたオーダーの流行やデリバリーシステムの普及の影響という新たな論点を導出することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
ソーシャル・キャピタルに関する論点はある程度知見の整理ができたので、今後は、料理人の技能に基づくフレキシビリティに対する、スマホアプリを用いたオーダーの流行やデリバリーシステムの普及の影響という論点に着目していく。
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Causes of Carryover |
もともとはアルバイト学生による文字起こし業務が予定されていたが、AI文字起こし機能の進化により、この業務の省力化が進んだため。学生アルバイトは主に文字起こしではなく、内容の正否の確認作業に従事している。次年度では資料調査に伴う入力作業に学生アルバイトを雇用する予定があり、次年度使用額はこれに充てる。
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