2023 Fiscal Year Research-status Report
非特異格子凸多面体に関連する代数的および組合せ論的諸問題の解決
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22K13890
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
土谷 昭善 東邦大学, 理学部, 講師 (30836953)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 格子凸多面体 / トーリックイデアル / 2次生成 / Kempe同値 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,可換環論・代数幾何学・数え上げ組合せ論・組合せ論的トポロジーなどの多様な分野が交叉する格子凸多面体論における懸案の未解決問題の解決である.今年度の研究では,関西学院大学の大杉英史氏との共同研究により,有限グラフに付随する安定集合イデアルの部分イデアルとして2-coloringイデアルを定義し,付随するグラフのk彩色がKempe同値となる必要十分条件を,イデアル所属問題を用いて与えることに成功した. またKempeイデアルと呼ばれる2-coloringイデアルと,ある単項式イデアルを組み合わせてできるイデアルを定義し,Kempe類の様々な性質を,このイデアルの代数的性質を用いて調べることに成功した.具体的には,Kempe類はKempeイデアルの標準単項式に対応しており,Kempe類の数え上げ多項式は,このKempeイデアルの剰余環のHilbert関数と一致することがわかった.またグレブナー基底の理論を適用させることで,Kempe類に関する様々なアルゴリズムを代数的に与えることに成功した.今後はマッチング凸多面体と呼ばれるグラフに付随する格子凸多面体に関して,これまでの研究を応用し,その代数的および組合せ論的性質の解明を目指す.また引き続き今回導入した2つのイデアルの代数的性質について調べる.特に,2-coloringイデアルはトーリックイデアル,つまり,素イデアルとならないときがあるが,根基イデアルとなる可能性があるため,その証明を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの格子凸多面体の研究をKempe同値と呼ばれるグラフ理論の概念に応用することができ,今後の研究の発展が大きく見込まれるため.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究からマッチング凸多面体がグラフの辺彩色と関連することがわかったため,辺彩色の理論を用いてマッチング凸多面体の代数的,および組合せ論てき性質の解析を行う.
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Causes of Carryover |
予定していた海外渡航が1つ延期となったため次年度使用額が生じた.そのため,次年度では海外渡航を予定より増やして次年度請求額と合わせて使用する.
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