2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K13924
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鈴木 悠平 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (20804511)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | Pimsner環 / KMS荷重 / フロー |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまずは局所コンパクト群に関連する作用素環論について、重要文献の調査を行い、技術と感覚を養うことに多くの時間を割いた。結果として、「非可換従順作用の構成問題」について、次のような重要な成果(新しいアプローチ)を与えることができた。これは文献調査の中で学んだ岸本=Kumjianの論文の技術が大きなヒントとなった。 具体的には、C*-力学系について、適切なデータ(極小性を満たす、同変自己準同型の族)から、同変ヒルベルトC*加群を定め、そのCuntz-Pimsner環および、適切な準自由流れの接合積C*-環が、流れのKMS荷重を分類することで、しばしばトレース荷重を持つ(すなわち安定有限型である)、ということを明らかにした。同時にこれらのC*環は緩い条件のもとで単純C*環となることも、Pimsner環のもつ特別な構造を駆使することで証明することができる。 結論として、C*力学系から、有限型単純C*環上の力学系を構成する枠組みが二種与えられたことになる。(Pimsner構成、およびその流れによる接合積)。そして重要なこととして、私と小沢登高の共同研究の定理を用いることで、この構成は作用の従順性を保つことがわかる。よって有限型単純C*環上の従順作用が量産できるようになったわけである。 これらの結果は空疎なものではなく、実際に具体的に新しい非可換従順作用を量産することが可能になった。具体的には、例えば、(1)単純AF環上の従順作用の初めての例、(2)無限型UHF環やZ_0の安定化の、単純C*環上の離散接合分解(任意の可算群)、(3)自由群については、有限型単純C*環上の従順作用について、少なくとも同変カスパロフ類の障害は存在しない、などの重要な成果が次々と従う。論文は現在最終的な点検作業中であり、近々公開予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「有限型単純C*環上の従順作用を構成する関手的な構成方法を与える」というのは今後数年で解決すべき重要問題として認識していたが、これについて完成品とまでは言えないまでも、それに至るために必要であろう、元々の想定を超えた重要な進展があったため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き本研究課題に関連した文献の調査を行い、必要な技術、知識や、今後のさらなる進展となるであろう現象の種を集めておく。また来年度はすでにたくさんの国際研究集会に招待されているため、これらの講演や他の研究者との交流の中でさらなる深化の手がかりを見つけたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による海外出張の制約や、ロシアの暴挙による航路の不安定化により、海外出張を行うのは学務に大きな影響を与えうると判断して、出張を取り消したため。
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Remarks |
経歴、論文リスト、講演履歴、出張履歴・予定などを日英語で公表している。
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