2023 Fiscal Year Research-status Report
混合または結合で閉じた量子測定および量子操作の数学的構造に関する研究
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22K13977
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
倉持 結 九州大学, 理学研究院, 助教 (90773169)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 量子情報 / 量子チャンネル / 量子測定 / 保存則 / リソース理論 / 非有界作用素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では,前年度に得られた非有界保存量に対するWigner-Araki-Yanase(WAY)定理を,反復可能条件の場合に一般化すること,および定量的なトレードオフ関係に拡張することに取り組んだ.後者の内容については,ある一定の条件のもとでは有限次元と同様の関係が得られたが,一方で前者の内容とともに一般の場合は非有界作用素の取り扱いの難しさから満足行く結果は得られなかった. また,測定後のインストゥルメントのなす半群の特徴づけについても取り組んだ.この量子員ストゥルメントの半群は時間的に一様な量子連続測定過程の最も一般的な定式化であり,時間連続な量子制御などの記述にも現れるものである.そのためこのような測定の数学的に一般的な形式について理解することは量子制御などの基礎づけならびに応用にとって重要と考えている.この問題についてはもし古典的な情報の読み出しがない場合は,量子動力学的半群と呼ばれるものに一致し,その一般的な形はGorini-Kossakowski-Sudarshan-Lindblad(GKSL)マスター方程式として知られている.本研究ではこの一般化を目指すものであるが,無減少時間における古典的情報の読み出しによる系の時間発展の記述の難しさから現在のところ結果は得られていない. また,前年度に得られたWAY定理の一般化についていくつかの学会・研究会で発表し他の研究者と意見の交換を行った.また,前年度に投稿した同内容の論文がPhysical Review Letters誌に受理され,Fetured in Physicsに選ばれるなど一定の評価を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の成果は量子操作の物理的実装に関する研究テーマに属する.非有界作用素特有の困難および所属の変更などの時間的事情から本年度の研究は当初の予定からやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き非有界作用素特有の困難および研究計画にある時間について一様なインストゥルメントの特徴づけに取り組む予定である. これらに対しては,無限大や無限小をを直感的かつ厳密に扱うことが超準解析からのアプローチなどを考えている.
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Remarks |
Physical Review Letters誌に受理されたWAY定理に関する論文のプレスリリースを九州大学から出した.
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