2022 Fiscal Year Research-status Report
アウターライズ断層における流体・物質循環の規模と大気海洋環境への影響の評価
Project/Area Number |
22K14115
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
鹿児島 渉悟 富山大学, 学術研究部理学系, 特命助教 (70772284)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 地球化学 / アウターライズ / 断層 / 物質循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在の地球大気・海洋は、断層や火山を経由して地球深部から放出された水などの揮発性物質が蓄積して形成したと考えられている。日本海溝のアウターライズ(海溝外縁隆起帯)の大規模正断層では、マントル-海洋間の流体循環が存在する可能性が指摘されている。アウターライズ断層における流体循環はグローバル物質循環に大きく寄与し大気海洋環境を支配してきた可能性があるが、その規模については観測が不十分であるため知見が不足している。本研究ではマントル成分の寄与に敏感なヘリウム同位体などを用いて、アウターライズ断層における物質循環と、それがグローバル物質循環や大気海洋環境に与える影響を調査することを目的とする。 今年度は4月に実施した白鳳丸KH-22-6次航海「日本海溝海側における海洋プレート上層部での水の流動と熱輸送過程の研究」を通じ、東北沖アウターライズ海域においてピストンコアラー・マルチプルコアラーを用いて海底堆積物・間隙水試料を採取した。間隙水中の希ガス・主成分や酸素・水素同位体比等が測定された。間隙水試料の一部は海水と大きく異なるヘリウム・ネオン同位体組成を持ち、マントル・マグマ起源物質の混入を反映した可能性がある。また当該海域の観測を継続するために研究船共同利用に応募し、新青丸航海「日本海溝アウターライズにおける大規模流体循環の時空間スケールの解明」が採択され、2023年度における実施が計画されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、日本海溝近傍のアウターライズ断層などにおける観測を実施して堆積物・間隙水試料を採取し、ヘリウム同位体比等のデータが得られた。今後の研究で得られるデータとも比較を行い、日本海溝近傍における固体地球内部―地球表層間の物質循環等について議論を進めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は研究航海「日本海溝アウターライズにおける大規模流体循環の時空間スケールの解明」を通じて堆積物・間隙水試料を獲得して、今年度に引き続きヘリウム同位体比等のデータの収集を行う計画である。今後、蓄積したデータに基づいて、日本海溝近傍における固体地球内部―地球表層間の物質循環等について議論を進めていく。
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