2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K14748
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
姉帯 勇人 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 若手国際研究センター, ICYS研究員 (80880286)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 発光性メカノクロミズム / バネ状分子 / ピレン |
Outline of Annual Research Achievements |
外部刺激で構造が変化し、同時に物性も変化する有機物は材料として価値があり注目を集めている。例えば、アミド基を導入したテトラフェニルピレン誘導体は、機械的な刺激によって、パッキング様式が変化し、発光色が青色から青緑色へと変化する。この様な構造変化の可視化は、機械的な力が与える分子への影響や動きを評価するために大変有用である。一方で、外部刺激によって構造変化する身近な物質としてバネがあり、バネ状分子(o-phenylene)は、東京大学の相田・福島らによって報告されている。そこで本研究では、バネ状分子が外部刺激応答性材料として有用であるかを明らかにする事を目的に、o-phenyleneに、特異な光学特性を示すピレンを導入した分子1を合成し、機械的刺激などの外部刺激による発光色の変化を調査した。 1はバネ状構造を形成したが、末端のピレンの平均距離と二面角は大きく、重なり面積は小さかった。次に1の粉末をメノウ乳鉢で擦ったところ、発光色が青色から青緑色へと変化し、PXRDパターンでは、結晶質からアモルファスへの変化を示した。従って、発光色の変化は結晶構造変化に由来してピレン間の配向と相対的な距離が変化したことで起きている事が明らかとなった。一方、末端のピレンが近づいた際の、エネルギーと重なり面積の変化をDFTで計算したところ、ピレン同士が近づくと、エネルギーが減少する一方で、重なり面積は増加した。従って、外部刺激により分子内のピレンの相対位置が近づくことで、発光色の変化が誘起されることが明らかとなった。
|