2023 Fiscal Year Research-status Report
金属イオンの複数の原子価状態の制御による金属酸化物光触媒の新奇高活性化手法の確立
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22K14758
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
西山 尚登 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 特命助教 (10850670)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 可視光応答型光触媒 / 金属イオンドープ / 酸化チタン / ゾルーゲル法 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、申請者は、酸化チタン(TiO2)光触媒にドープした金属イオンの原子価状態制御法を独自に編み出し、難分解性有機物の分解に対して高活性な光触媒粉末を独自に開発してきた。昨年度は、Pt(IV)イオンをドープしたTiO2 (Pt(IV)-TiO2)ゾルへの紫外光照射によりドープしたPt(IV)をPt(0)まで還元することで、Pt-TiO2ゾルを調製し、焼結を行わずに、液体状態で水素を生成することに成功した。2023年度は、太陽光の大部分を占める可視光に応答可能な単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の助触媒としてPt-TiO2ゾルを用いることで、可視光応答型の有機-無機ハイブリッド光触媒の開発に着手した。 SWCNT水分散液に、調整した透明なPt-TiO2ゾルを添加し、暗下で攪拌することで、SWCNT/Pt-TiO2ハイブリッドを得た。犠牲剤共存下において、波長422 nm以上の可視光を照射すると、水素の生成を確認できた。したがって、SWCNTを利用した新規有機-無機ハイブリッド光触媒の開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者が昨年度開発した光触媒は、通常必要な焼結を行うことなく、水素生成に対する活性を確認できたため、従来よりも合成にかかるエネルギーの低減に成功しているが、太陽光にわずかしか含まれない紫外光にしか応答できなかった。今年度推進した研究により、Pt-TiO2をSWCNTの助触媒として用いることで、太陽光に多く含まれる可視光を利用可能である光触媒を創出できた。さらに、SWCNTは、可視光だけでなく、近赤外光にも応答可能であるため、さらなる太陽光有効利用に向けた光触媒の高活性化の発展につながっていくと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、申請者の開発した金属酸化物の金属イオンの原子価状態制御法をTiO2以外のワイドバンドギャップを有する金属酸化物光触媒に応用していく。具体的には、酸化亜鉛や酸化スズ等への金属イオンドープにより、可視光応答性をもたらし、原子価制御による光生成ホール-電子対の寿命を延ばすことで高活性化させる。さらに可視・近赤外に吸収可能な有機分子と融合させ、太陽光の全光を最大限に利用可能な有機-無機ハイブリッド光触媒の創出も視野に入れ研究を推進させる。
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Causes of Carryover |
研究代表者の研究機関の異動のため。消耗品や触媒活性評価に必要な備品の購入を予定している。
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