2023 Fiscal Year Research-status Report
ネコのリンパ腫におけるEZH2の細胞増殖活性制御機構の解明
Project/Area Number |
22K15017
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
町田 雪乃 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 講師 (40791132)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | EZH2 / EZH1 / リンパ腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
ネコのリンパ腫の治療は多剤併用療法が一般的であるが、病態が進行すると寛解は不可能なため、新規治療法の開発が必要不可欠である。本研究は、新規治療標的候補としてヒトのリンパ腫の新規治療標的治療薬として開発されているエピジェネティック酵素のEnhancer of zeste homolog 2 (EZH2)に着目した。EZH2はヒストンH3の27番目のリジン残基をトリメチル化(H3K27me3)することで標的遺伝子の発現を抑制することが知られている。申請者の先行研究は、B細胞性/T細胞性リンパ腫ともにEZH2陽性の症例は、高い細胞増殖活性を有し、EZH2が悪性化に関与していることを明らかにした。本研究では発現ベクターを用いた機能解析、臨床症例を用いた変異解析、トランスクリプトーム解析を遂行し、EZH2によって制御される候補遺伝子を同定し、ネコのリンパ腫のEZH2を介した悪性化機構を解明する。また、患者腫瘍組織移植マウスを作製し、EZH2阻害治療の可能性を模索する。本研究成果はネコリンパ腫がエピジェネティックな制御機構を受けるという新しい概念を創出し、エピゲノムを標的とした新たな治療法の基盤構築に貢献できる。 2023年度は、EZH2と協調的に働くEZH1に着目し、ネコのリンパ腫におけるEZH1の発現を検索した。その結果、EZH1陽性リンパ腫は細胞増殖活性が低い傾向がみられた。このことから、EZH1の発現抑制、EZH2の発現亢進によりリンパ腫は高い細胞増殖能を得ると推察される。またネコリンパ腫細胞株を用いたin vitro解析ではEZH1/2阻害剤投与により抗腫瘍効果が濃度依存性に認められた。このことから、EZH1/2阻害剤はネコのリンパ腫の治療に有効であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究課題の進捗はやや遅れている。ネコのリンパ腫の外科切除材料が想定よりも集まらず、変異解析、トランスクリプトーム解析の遂行が遅れている。またEZH1/2阻害剤を用いたネコのリンパ腫のin vivo解析も実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り遂行予定である。昨年度に引き続き、ネコのリンパ腫の外科切除材料を用いたEZH2の変異解析、トランスクリプトーム解析、EZH1/2阻害剤を用いたin vivo解析を実施する。
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Causes of Carryover |
2023年度はネコのリンパ腫の外科切除材料が少なかったため、研究試薬、解析費用の次年度使用額が生じた。2024年度はEZH2の変異解析、トランスクリプトーム解析、EZH1/2阻害剤のin vivo解析を実施する。
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