2022 Fiscal Year Research-status Report
高次クロマチン構造変換を介した抗酸化・抗炎症遺伝子制御機構の解明
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22K15376
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大槻 晃史 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 助教 (30778022)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 転写制御 / NRF2 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症応答は外来刺激に対する生体防御機構として重要であるが、一方で、過剰かつ慢性化した炎症は様々な疾患の原因となる。NRF2は抗酸化・解毒酵素の発現制御を担うマスター転写因子であり、様々な炎症性疾患の病態を緩和させる機能を持つ。近年のゲノム解析技術の進歩に伴い、様々な細胞・環境においてNRF2が結合するゲノム領域が網羅的に同定されてきたが、多くの場合、それらのゲノム領域によって制御される標的遺伝子を正確に特定するのは極めて難しい。本研究では、NRF2による標的遺伝子発現制御の際に生じるクロマチン構造を詳細に解析することで、エンハンサー・プロモーター間の長距離相互作用を介した標的遺伝子制御機構の解明に挑む。 本年度はまず、ENCODEデータベースに収載されているクロマチン免疫沈降シークエンス (ChIP-Seq) データを詳細に解析し、NRF2の結合およびエンハンサー活性が見られる領域をゲノムワイドに定義した。次に、東北メディカル・メガバンク機構のヒト遺伝的バリアントデータベースを参照し、エンハンサー領域に対するNRF2結合能に影響を及ぼす可能性がある一塩基バリアントの有無を検索した。特に、NRF2の認識モチーフである抗酸化剤応答配列(ARE)内に存在するバリアントに着目し、約1,500個のバリアントを抽出することに成功した。来年度以降、見出された遺伝的バリアントが標的遺伝子の転写制御に及ぼす影響を実験的に検証するとともに、クロマチン構造の網羅的解析を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、本来予定していた網羅的クロマチン構造解析に代わり、公共データベースを用いたin silico解析を先行して実施した。これらの結果は、今後実施予定の網羅的解析の結果解釈における重要な知見となる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、見出された遺伝的バリアントが標的遺伝子の転写制御に及ぼす影響の実験的バリデーションを行う。また、炎症刺激下におけるNRF2結合配列周囲のクロマチン高次構造解析を行い、エンハンサー・プロモータ間相互作用の有無を検証する。
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Causes of Carryover |
公共データベースを用いたin silico解析を優先して実施したため、解析に用いる試薬分の次年度使用額が生じた。
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Research Products
(4 results)