2022 Fiscal Year Research-status Report
神経保護的ストレス反応調節因子「REST」を用いたうつ病のリカバリー判定
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22K15773
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
石井 洵平 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (60814100)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | うつ病 / リカバリー / REST / 血中バイオマーカー / 海馬体積 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、遺伝子サイレンシング転写因子(REST)のうつ病のstate marker(層別化マーカー)としての検証を行った。 2022年度には、東京慈恵会医科大学附属病院に通院中の大うつ病性障害患者(20歳以上65歳未満)のうち20名および健常ボランティア20名より本研究参加への同意を取得した。うつ病患者および健常ボランティア各20名より、静脈血採血による約10mlの全血を得たのち、同大学精神医学講座のウエットラボにて、血液検体を4℃,3000回転/分,15分間の遠心分離を行い、ELISA法により血中REST濃度を測定した。得られた血漿は検体保管用チューブに分注し、ディープフリーザーにて‐80℃で凍結保存した。 健常ボランティア群では同条件にて1週間の期間を空けて計2回の測定を行い、1回目と2回目の測定値の平均を用いて解析を行った。その結果、健常ボランティア群のREST濃度は平均62.39±86.8pg/ml、うつ病患者群のREST濃度は平均74.24±111.8pg/mlであった。両群間の差をt検定を用いて比較したが、有意な差は認めなかった(t=-0.35, p=0.73)。 1回目と2回目の測定結果にばらつきが大きく、特に測定値が低い被検者においてその傾向が顕著に認められたことから、測定の再現性に問題がある可能性が考えられた。よって、次年度は測定再現性について再検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常ボランティア20名およびうつ病患者20名より研究参加への同意が得られ、血液検体より血中REST濃度の測定および解析を行うことが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は頭部MRI検査による海馬の体積測定を行い、REST値と海馬体積の関係についての解析を行う。さらに、うつ病患者を24週間追跡し、回復群および非回復群に分類することで、RESTの予後予測マーカーとしての検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度の血中REST濃度の測定を行ったが、測定値にばらつきが大きく、次年度はさらに症例数を増やし、再現性の検討を行うことが必要であるため。また、頭部MRI検査による海馬体積の測定を行い、REST値との関係を調べることで外的妥当性を検証するため。
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