2023 Fiscal Year Research-status Report
神経保護的ストレス反応調節因子「REST」を用いたうつ病のリカバリー判定
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22K15773
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
石井 洵平 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60814100)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | うつ病 / リカバリー / REST / 血中バイオマーカー / 脳体積 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、2022年度に引き続き遺伝子サイレンシング転写因子(REST)のうつ病のstate marker(層別化マーカー)としての検証を行った。 2023年度は、東京慈恵会医科大学附属病院に通院中の大うつ病性障害患者(20歳以上65歳未満)のうち12名に対して、本研究参加への同意を取得した。対象者に静脈血採血を行い、約10mlの全血を得たのち、同大学精神医学講座のウエットラボにて、血液検体を4℃,3000回転/分,15分間の遠心分離を行い、ELISA法により血中REST濃度を測定した。得られた血漿は検体保管用チューブに分注し、ディープフリーザーにて‐80℃で凍結保存した。 また、対象者の3D T1強調gradient echo(GRE)画像を撮像し、Statistical Parametric Mapping 12(SPM12)を用いて脳体積の測定を行った。 血漿中REST濃度と脳体積の関係について調べるため、T1強調画像の解剖学的標準化ののち、年齢および血中REST濃度を共変量として相関解析を行い、血漿中REST濃度と正および負の相関を示す脳領域を予備的に同定した。 その結果、うつ病患者の血中REST濃度と海馬体積には相関が認められなかったが、血中REST濃度と右前頭極および左中側頭回の体積増加量の間に、非補正(uncorrected)0.1%水準のピークレベルで正の相関が認められた(クラスター数は左879 voxels、右385 voxels)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大うつ病性障害患者12名に対して、静脈血採血と3D T1強調gradient echo(GRE)画像の撮像を行い、血中REST濃度の測定と脳体積の関係を調べることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、うつ病患者を24週間追跡し、回復群および非回復群に分類することで、RESTの予後予測マーカーとしての検証を行う予定である。今回、REST濃度と前頭極および中側頭回の体積に正の相関が認められたが、非補正のピークレベルと弱い相関であったことから、次年度はさらに症例数を増やして探索を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度は血中REST濃度の測定と脳体積の測定を行ったが、測定値にばらつきが大きく、次年度はさらに症例数を増やし、再現性の検討を行うことが必要であるため。また、次年度は対象者の追跡を行い、予後との関連を調べることでRESTの予後予測マーカーとしての検証を行うため。
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