2023 Fiscal Year Research-status Report
CA I ノックアウト炎症性腸疾患モデルを用いたCA I免疫療法の治療効果
Project/Area Number |
22K15999
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
丹下 和洋 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (10903750)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
Keywords | 炭酸脱水酵素 / 炎症性腸疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
潰瘍性大腸炎(Ulcerative colitis: UC)の病態に盲腸の抗原(Cecal Bacterial Antigen: CBA)が深くかかわることは以前から報告されているが、申請者らのグループは、CBAをプロテオーム解析した結果、炭酸脱水酵素I(Carbonic Anhydrase I : CA I)が主要な蛋白抗原であることを同定した。また、CA Iと共培養した免疫寛容誘導性樹状細胞は炎症性腸疾患モデルマウスの腸炎を抑制したが、CBAからCA Iを除去すると、腸炎抑制効果を示さなかったことから、CA IがCBAの中で、腸炎抑制に関与する稀なタンパク質であることを同定している。 これまでに、CA Iが腸管において有益な蛋白質であることに着目し研究を行ってきたが、mouse CA I(mCA I)、human CA I(hCA I)の経口投与により、腸炎モデルマウスの大腸炎が改善すること、また、CA Iのエピトープペプチドを用いた細胞療法が同様に腸炎モデルマウスの腸炎を抑制することを同定している。また腸炎時に大腸上皮細胞、糞便中のCA Iは炎症が進行すると、徐々に枯渇していくことを同定している。 本研究ではCA Iの腸炎抑制に関わる機序を同定するために、CA Iノックアウトマウスを作成して、腸管、糞便中に存在するCA Iの排除が、自然免疫、獲得免疫、さらには腸内環境(腸内細菌、便pH、便中代謝産物)に及ぼす影響を評価する。また、腸炎を誘発した同CA Iノックアウトマウスに、CA Iを補充することにより、免疫細胞やサイトカインの変化を評価して、抗原補充が腸管に与える影響について解析する。 現在CA Iノックアウトマウスを作成し、研究を遂行しているが、腸管、糞便中に存在するCA Iの排除、補充が、自然免疫、獲得免疫、さらには腸内環境(腸内細菌、便pH、便中代謝産物)に及ぼす影響を評価することを目的としている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
KOマウスの遺伝子欠損の過程、繁殖に難渋したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
腸管、糞便中に存在するCA Iの排除が、自然免疫、獲得免疫、さらには腸内環境(腸内細菌、便pH、便中代謝産物)に及ぼす影響を評価することを目的としている。 作成したCA I-KO マウスについて、シーケンスやジェノタイピング解析により、挿入遺伝子の欠損が、問題なく行えていることを確認することができた。 並行してCar1 floxマウスの作成も行なっており、こちらについては現在、難渋しているが、腸管特異的なKOについても行えるよう研究を進めていく。 今後、CA I-KO マウスを用いて、組織における蛋白の欠損が状況を確認し、実際に腸炎を誘発する中で、免疫動態の変化を解析していく方針である。
|
Causes of Carryover |
来年度に物品を購入するために繰越。
|