2022 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージをターゲットとした新しい心血管イベント予防法開発
Project/Area Number |
22K16105
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
江本 拓央 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (80855023)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / 急性冠症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
冠動脈粥腫切除術(directional coronary atherectomy: DCA)で得られる慢性冠症候群(安定狭心症)患者のプラークと急性冠症候群患者のプラークをシングルセルRNAシークエンス (scRNAseq) で比較し、単球とCXCL3+IL1B+ inflammatory Mφを急性冠症候群患者でのみ認めた。CXCL3+IL1B+ inflammatory Mφが動脈硬化に与える影響を調べるために、動脈硬化退縮モデル(LDL受容体ノックアウトモデルに高脂肪高コレステロール食を負荷して動脈硬化を強く誘導した後に、普通食に戻すモデル)を用いて、プラークの安定化、退縮を評価した。抗IL1B抗体とCXCR2阻害薬の2剤を同時に投与すると、動脈硬化の進展を食い止めることができた。実際の冠動脈プラークから得たデータを元に仮説を組み立てているため、マウスでの研究の結果はそのままヒトのデータの解釈につながり、臨床的意義は大きい。樹状細胞とCD4陽性T細胞との相互作用に着目し、CD40LGに対する抗体治療が、動脈硬化を安定化させる作用もあるのではないかと考えており、動脈硬化退縮マウスでCD40LG中和抗体の投与を行い、プラーク安定化、退縮作用を調べることとした。結果は、現在のところ、動脈硬化の進展を食い止める作用はCD40LG抗体にはなかった。しかし、以前の動脈硬化モデルマウスにおいて、CD40-CD40LGが動脈硬化進展に重要な役割を果たしていることは報告されているところから、抗体の投与量や投与回数を検討する必要があり、再度実験を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験は順調に進んできるが、細胞数の確保などが難しく、シングルセルATACシークエンスなどが行えていない。
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Strategy for Future Research Activity |
なぜCXCL3+IL1B+ inflammatory Mφの細胞集団が出現してきたかを明らかにする計画を進めていく方向で考えており、シングルセルATACシークエンスを併用することでエピジェネティクスからの介入の可能性を解明すること、またClonal hematopoiesisとの関連を明らかにしたいと考えている。
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