2023 Fiscal Year Annual Research Report
Regulation of bone formation by histone demethylase
Project/Area Number |
22K16732
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荒井 誠 東北大学, 医学系研究科, 助教 (10865059)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 骨形成 / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢化社会を迎え、骨粗鬆症は増加の一途をたどっている。骨粗鬆症は骨折を介して移動を含めた生活全般の機能を低下させるだけでなく、生命予後にも悪影響を及ぼしている。こうした社会的要請に応えるべく骨粗鬆症治療薬が開発されているが、それでも骨折発生数を抑えているとは言い難い。 骨代謝は破骨細胞の担う骨吸収と骨芽細胞の担う骨形成からなり、それに対応して骨粗鬆症の治療薬には骨吸収抑制薬と骨形成促進薬がある。しかしその大半は骨吸収抑制薬であり、骨形成促進薬は副甲状腺ホルモン製剤であるテリパラチドやその関連製剤と、抗スクレロスチン抗体であるロモソズマブの2種類しかない。 こうした背景を鑑みて、本研究では治療介入の余地の大きい骨形成に注目した。そして、長期記憶に関与し得るヒストンメチル化の観点から骨形成を制御するエピゲノム記憶を解明し、治療標的を探索することを目的とした。 このために申請者は骨組織を対象としたシングルセル解析を行い、その結果からあるヒストン脱メチル化酵素を見出した。そして、同遺伝子の欠損マウスを用いて骨代謝の評価を行ったところ、大腿骨のマイクロCTおよび腰椎切片を用いたvon Kossa染色の結果、同遺伝子の欠損マウスでは骨量が増加していることが明らかとなった。また、骨形態計測の結果、この骨量増加は骨形成の亢進が原因であることが明らかとなった。さらに、遺伝子発現解析から、同エピゲノム酵素の機序には、ステロイド投与に対して生じる骨組織の反応と類似した反応が関与していることが示唆された。今後は細胞実験も行い、同エピゲノム酵素がどのようにして骨形成を制御するのか、その詳細なメカニズムの解明に迫りたい。
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