2023 Fiscal Year Research-status Report
自己免疫性精子形成障害における共通抗原の同定~臨床応用に向けて~
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22K16796
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
永堀 健太 東海大学, 医学部, 特任講師 (50759561)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 男性不妊 / 精子形成障害 / 自己抗原 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では自己免疫性精子形成障害を惹起する共通の標的抗原分子を同定し、共通のエピトープ配列を探索することで新たな臨床応用への学術的基盤となることを目指す。2023年度に、アジュバント処置をせずに同種および異種の雄性生殖細胞のみの接種により実験的に自己免疫性精子形成障害を引き起こすラットおよびマウスを用いて標的抗原候補分子の探索を行った。それぞれのモデルは精巣網、直精細管および白膜周囲にリンパ球浸潤が認められるが、精子形成は保たれている炎症初期の時期(マウス:初回接種から28日後、ラット:初回接種から30日目)にサンプリングを行った。各モデルマウスおよびラットから血清抗体を採取し、雄性生殖細胞由来のタンパク質を2D-westernblot法を用いて反応を確認し、その後質量分析を用いて反応タンパク質の解析を行ったところ11種類のタンパク質(Ankrd36、Hspa1L、Hspa2、Hspa4L、Hspa5、Lrrc34、ODF-2、Spa17、Spata19、Tubb2c、Tubb4b)が同定され、この内4種類(Hspa2、Spa17、Spata19、Tubb4b)はこれまでに報告のない新規に同定された標的抗原候補分子であった。また、Ankrd36、Hspa4L、Hspa5、Lrrc34、Tubb2cの5種類は実験的自己免疫性精巣炎モデルマウスおよびラットの両種において検出されたため共通の標的抗原候補分子として考えられた。この結果は、種を越えた共通の抗原が男性不妊を引き起こす可能性があることが示唆されており、今後これらの候補分子についてより詳細な調査(タンパク質の発現部位、自己抗体との反応性など)が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は探索した抗原を用いて実験的自己免疫性精巣炎モデルを作成できるかというところまで検討する計画であったが、異種実験的自己免疫性精巣炎モデルマウスおよびラットから得られた血清抗体を用いて、自己抗原の探索・同定までの実施にとどまった。この原因としては本来使用予定であった質量分析装置の故障もあり、解析について外部委託業者との解析に要する試料の精製度の確認をはじめ、解析に支障が生じないように委託業務に関する調整をしなければならなかったことなどが挙げられる。しかしながら、新規の候補分子の同定など新たな発見もあったことから解析を優先させたことは研究ストラテジーの観点から妥当であったと判断している。このことから、現在までの進捗状況は「(3)やや遅れている」に当てはまると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況は「(3)やや遅れている」に当てはまると判断したが、自己抗原の探索については2023年度の時点で一定の成果を得られていることから、研究計画そのものに大幅な変更の必要はないと思われる。このことから当初の予定通り本研究課題を進める。2024年度に実施予定である、「探索した共通標的抗原によるエピトープ解析」についても、当初の予定通り実施する。
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Causes of Carryover |
2023年度は探索した抗原を用いて実験的自己免疫性精巣炎モデル作成を実施する計画であったが、使用予定の機器の不調もあり自己抗原の探索・同定までの実施までにとどまり、解析には至らなかった。次年度使用額が生じた理由はこのことによる。2023年度に実施予定であった解析は2024年度に実施し、生じた次年度使用額はこれに充てるものとする
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