2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism by which exosomes released from bone-derived human bone tissue-derived mesenchymal stromal cells lead to bone formation
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22K16990
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
杉本 佳香 北里大学, 医学部 形成外科・美容外科学, 講師 (90775941)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | エクソソーム / 骨組織由来間葉系細胞 / 凍結保存 / 唇顎口蓋裂 / 骨組織再生 / 骨分化誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
北里大学形成外科・美容外科学教室では、これまでに多くのヒト骨組織由来間葉系細胞human bone marrow-derived mesenchymal stromal cells (hBT-MSCs)の採取と長期凍結保存を行っており、この長期凍結保存細胞を再度培養してエクソソーム(Exo)を採取してきた。本研究の最終目的は、骨組織再生のために自己の凍結保存したhBT-MSCsを用いた臨床応用であり、凍結保存した検体による骨組織再生が可能かどうか、安定して供給できる骨組織を目差す為、成長因子;環境因子の1つとしてのExoとhBT-MSCsの関連を解明することである。そのため本研究における目標とする到達点は骨形成能を認めた時期のExoに内包される因子の特定と量の解明とした。in vitroでは骨分化誘導の有無や培養日数によりExoの細胞内の分布や量がどう変化するかを見るため免疫蛍光染色を行い、さらにFACSを行い数量の変化を確認した。更にカルシウムの産生量により骨形成能の変化をみた。In vivoではヌードラット頭蓋骨に左右対称に5mmの欠損創を作成し、画像評価(レントゲン及びマイクロCT撮影)、組織学的評価(HE染色とcollagen typeⅠ染色)を行い骨形成がみられるか評価を行った。また、Exoの骨形成に対する組織間伝達を確認するため、蛍光免疫組織染色(間接法)を行った。In vitroではExoに比し培養上清が5~15倍のCaの産生量であったことより、In vivoにおいてExo滴下での骨形成は難しいと予測されたが、足場の選択により骨形成が促進されているのを確認した。しかしin vivoにおいて蛍光免疫染色ではExoを捉えることが難しく、組織にどのように取り込まれているのかの可視的評価を検討中である。これらの結果は第23回再生医療学会で発表・報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、1~2年凍結保存後のhBT-MSCs由来培養上清から得たExoを用いて実験に供している。Exoに内包されるmicroRNA(以下miRNA)は、私の研究計画と並行して北里大学医学部形成外科教室研究室の先生が、hBT-MSCs3検体を用いてExoのmiRNAを次世代シークエンスによる解析を行っている。骨組織再生においては、このmiRNAの解明と、その発現要因の解明が重要な鍵となると考えており、骨形成を促進する要因としてExoの発現する量との関わり、さらに培養上清の内容による差異を検討中である。Exoの発現量に関してはIn vitroではFACSや蛍光免疫染色などによりその傾向を見ることが出来つつあるが、In vivoでExoの滴下量による骨形成量の変化を数値化・可視化ができていない。さらに培養上清の内容により骨形成に変化をみる可能性が示唆されたため、培養上清の網羅的解析を現在始めたところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今回In vitroにおける検討はおおむね順調に進んでいるが、論文化するためには検体数を3検体増やす必要があること、また現在取り掛かっている培養上清の網羅的解析の結果の解析により、Exoが内包するmiRNAや量における関係性の手掛かりとなるのではと思われ、解析を急いでいる状況である。更にin vivoでのExoの滴下量による骨形成量の変化を数値化・可視化するため、現在検討しているところである。
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Causes of Carryover |
研究発表目的の学会出張旅費を請求すべきところ、日本形成外科学会基礎学術集会は都内での開催であったため請求なし。日本再生医療学会は3月末であったためカウントにいれず請求なしとなった。また動物実験ではプレ実験として最小限のラットのみ使用したため、本実験で使用するための費用は次年度に移行させた。次年度は動物実験で使用するラットの数が今年度より増加する予定であるのと、培養上清に含まれるサイトカインの網羅的解析用キットの費用に充当予定である。
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